ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第105話なぜ、できる社長は“後ろ向き”なのか?

ムーンウォーク。前を向くのは、平凡社長。後ろを向くのが、できる社長
第105話:「なぜ、できる社長は後ろ向きなのか?」(ムーンウォーク。前を向くのは、平凡社長。後ろを向くのが、できる社長。)

 

「元気があれば何でもできる。引続き “前向き” に頑張ります」
 

アントニオ猪木の口調でK社長が言います。ある研究会で食事をご一緒しました。
 

「そうですね。頑張ってください。ただ、どうしてもムーンウォークしちゃうので向きに注意してくださいね」
 

小島は留意点をお伝えしました。なぜなら、K社長の顔色がとても良く、みなぎる活力を感じたからです。
 

研究会に参加をすると、K社長のように前向きな方に出会います。しかし、その中で自ら成果を出し続けられる方はごく一部です。多くの方は、様々な勉強会に参加しているにも関わらず変わりません。同じような状況を続けています。
 

この違いはどこにあるのでしょうか? 
 

当然ですがどの社長も一人の人間です。ポジティブな側面もあれば、ネガティブな側面もあります。
 

もし、ネガティブな側面にとらわれて活力を失っているようであれば、休息をとって気力・体力を回復させたり、ポジティブな側面に注目したりする必要があります。ただ、K社長は違いました。今回はこの観点の話ではありません。そこで、
 

「この1年、どのような学びをしましたか? そして、1年前と比較して、どのような変化がありましたか?」
 

小島は、確認の意味を込めてK社長に質問しました。
 

「今年は、幹部社員とともに●●と●●を学びました。社員も元気にやっているのですが、なかなか業績が良くなりません。競合との厳しい戦いが続いています」
 

とのことです。懸念した通りのお返事でした。K社長から “前向き” に対する強いこだわりを感じ、逆効果になっているのではないかと考えたからです。
 

一方で、ごく一部の成果を出し続ける社長は意図的に ”後ろ向き” になります。今週はこの違いについて、お伝えします。
 

< ムーンウォーク 前を向くのは、平凡社長。 後ろを向くのが、できる社長。 >
 

平凡社長は、前を向いて【希望】を探しています。
 

様々な勉強会や交流会に参加して、ヒントを掴み取ろうとしているのです。しかし、どれだけ前を向いて外にヒントを求めても、結果は変わりません。
 

なぜなら、自身の色眼鏡を外すことなく、目先の物色を続けているからです。自身では外したつもりですが、気づいていない前提は変えられません。従来の考え方・行動パターンの延長戦となり、結局は同じパターンを繰り返します。
 

ですから、前を向いてムーンウォークをしているようなものです。パターンを変え、結果を変えていく “できる社長” と比較をすると、相対的に後退しているからです。
 

このタイプの方は、元気に見えますが、実は空元気なのです。心と身体は連動しているので表面的な問題は解決しますが、根本的な問題は解決しません。根深い問題をかかえたままでは結果に繋がりません。その状況で無理に元気なふりを続けると、心か身体を壊してしまいます。空元気は、無意識的な抵抗を生み出すからです。
 

逆にできる社長は、後ろを向いて【絶望】を探しています。
 

特定の勉強会や交流会に参加してヒントにすることもありますが、必要最小限です。それよりも自身の過去に冷静に向き合い、自らヒントを掴み取ります。自分達がやってきたこと、その時の経営環境、その結果に向き合い、逃げずに分析します。
 

自身の色眼鏡を一旦外して、冷静に観察し直すのです。そして、自身の考え方・行動パターンの前提を疑いながら、過去の事実に向き合います。すると、当初の予測と結果と比較して「残すべき前提」と「変えるべき前提」が発見できるのです。そして、意図的に新たなパターンに変更していきます。
 

見たくない部分に向き合うのです。そして、ある意味で絶望を受け止めているから、自然と変化を受け入れられるようになります。
 

ですから、後ろを向いてムーンウォークをしているようなものです。従来のパターンを繰り返し、結果を変えられない社長と比較をすると、相対的に前進しているからです。
 

この絶望は、一見すると辛そうに見えます。ところが、これは周囲の勘違いに過ぎません。絶望の先には、視野が拡大された新しい世界がまっています。そこで担う役割の意義もわかるようになります。このプロセスで、心身ともにより一層強くなっていくのです。
 

要約すると、平凡社長は、定住に憧れつつ外を放浪し流されています。自身にこだわりつつも、自分を見失います。外部(勉強会などの場)に頼りきりになり、場の影響を受けて元気なつもりになっているだけです。
 

できる社長は、目的思考で己を律しつつ、定住し地盤を固め、領土を広げています。自身へのこだわりを薄めて、目的のために役割に徹します。顧客や社員が共鳴する大義を掲げ、自らがエネルギーの源泉となり、新たな場を創り出すのです。
 

念のため補足しますが 「勉強会や交流会に意味がない」 と言っているわけではありません。できる社長が、ネットワークを活用することはとても有効です。大義とも言える大きな目的を実現するために、むしろ推奨します。ただ、このような場への関わり方に注意が必要なのです。
 

K社長には過去に向き合い乗り越える力がある。小島はそう判断し、冒頭の言葉をお伝えしました。
 

御社が次のステージ進むために必要なことは、外にある選択肢を選ぶことでなく、内に向き合い、選択肢を自ら創り出すことなのです。
  

年末年始は、ご自身とあなたの組織の流れを見直す貴重な機会です。ぜひ、いつもとは異なる時間の過ごし方をしてみてください。
 

一人になれる時間を確保し「ひとり作戦会議」を開催してみてください。隙間時間ではなく、まとまった時間の方が良いでしょう。それが、御社を理想の未来に近づける第一歩です。
 

あなたは、前を向いて後退するのか、後ろを向いて前身するのか、どちらを向いて未来を切り開きますか?
 

 

 

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