ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第33話素材を活かす社長と素材を殺す社長の違い

経営も料理も 素材を活かす 「さしすせそ」が大切
第33話:<素材を活かす社長と素材を殺す社長の違い>(経営も料理も 素材を活かす 「さしすせそ」が大切)

 

「我が社に、こんなにも可能性が眠っていたんですね。」
 

営業部隊にマネジメントの仕組みを導入して約1年が経ちました。利益率の高い案件が受注できるようになったり、開発部門や製造部門との連携もスムーズになったり、同じ会社とは思えないほど変化しました。社員が生き生きと働くようになり、業績を創造する善循環がまわりだしました。
 

「小島先生。今回、導入が上手く進んだ理由はどこにあるのでしょうか?」
 

来期コンサルティングに向けた打合せの後、クライアント先の食堂で昼食をいただいたときの出来事です。
 

営業部門長のIさんの小鉢には、不規則な形に見えながらも大きさがそろった煮物が、薄茶色に輝いています。その一つニンジンをほおばりながら小島に尋ねました。
 

今回は和洋中のメニューから、和定食を選択。ブリの照り焼き、根野菜やコンニャクの入った煮物の小鉢、シャキシャキと鮮度の良いサラダもついています。管理や製造部門のメンバーは食堂で食事を取る方がほとんど。とにかく美味しいと、社員自慢の食堂です。仕事がら外で昼食をとることが多い営業メンバーが悔しがるほどです。壁に貼り出した手書きの献立を見ると、夜勤の方向けに夕食もあります。羨ましい限りです。
 
 
 
■1.経営も料理も基本が大切
 

「もちろん皆さんが真摯に取り組んだからですよ。あとは、調味料の使い方ぐらいでしょうか。おそらく料理と同じですよ」
 

と小島は答えました。
 

「基本が大切だ。ということですね。」
 

Iさんは、ピンときたようです。
 

Iさんの趣味は料理。週末になると、家族に腕を振るっているそうです。SNSには、美味しそうな料理の写真が毎週アップされます。趣味と公言するだけあって、相当の腕前でしょう。
 

料理の基本的な流れは、
(1)メニューを決める(季節を考慮したり、誰が食べるのかを考慮したり…)
(2)素材をあつめる(既にある物、新たに入手するもの…)
(3)調理をする(素材の使い方、調味料の使い方、順番など…)
(4)食事を提供する(どのような場で食べてもらうのかなど…)
 というプロセスでしょうか。
 

経営に置き換えて考えると、例えば
(1)製品・サービスを決める (だれに、何を提供するのか → ビジネスモデルなど)
(2)素材をあつめる (ヒト・モノ・カネ・情報など → 経営資源の確保など)
(3)調理をする (経営資源をどのように使うのか、順番など)
(4)製品・サービスを提供する (どのように提供するのか → マーケティングなど)
 と置き換えることができます。
 

ここで今回の成功要因を考えてみます。
 

この会社では、3年前にも同じ様な仕組みを導入し失敗した経緯がありました。別のコンサルタントの支援を受けて推進したものの、約半年で頓挫してしまったそうです。少々強引とも言えるやり方が、社員の反発を招き収拾がつかなくなってしまったとのこと。そして、約1年半の冷却期間を経た1年前、小島に声がかかりました。
 

モノゴトには様々な背景や要因があり、現在の状況があります。今回の仕組みづくりも、導入したタイミングが異なるため、何が良かったのか一概には言えません。その上で冷静に成功要因を考えてみることにします。
 
 
上記1「製品・サービスを決める」について:
⇒ 3年前と今回で同じような仕組みづくりを導入しようとした
 
上記2「素材を集める」について:
⇒ 社内のリソースはほぼ変わらない(+1回の失敗経験がある)
 

という点を考慮すると、上記3「調理をする」という部分が成功・失敗の分岐点だったのではないかと推察できます。そこで、今週はこの「調理をする」部分について掘り下げます。
 
 
 
■2.素材を活かす「さしすせそ」が大切
 

和食における調理の基本「さしすせそ」を知っている方は多いと思います。言うまでもなく調味料を投入する基本的な順番を示しています。
 
 
【さ】砂糖:さとう
【し】塩:しお
【す】酢:す
【せ】醤油:せうゆ(しょうゆ)
【そ】味噌:みそ
 

砂糖は、他の調味料よりも分子が大きい。具材に浸透し難いため最初に投入します。次に塩。浸透圧が高く、食材から水分を外に出す作用があります。そのため砂糖の味を染み込ませた後にいれます。酢・醤油・味噌はいずれも発酵調味料。熱に弱いため、風味が損なわないように、仕上げ近くに入いれます。
 

それぞれの調味料には、食材の焼き色や香り、艶や粘り、殺菌効果や消臭、食材をやわらかくしたり消化しやすくしたりする効果もあります。(みりんや酒などのアルコールを含む調味料は、臭み消しや食材の味付けをしやすくするため、「さしすせそ」の前に入れると良い)
 

このように調味料を投入する順番「さしすせそ」には、風味付け以上の作用、科学的な根拠があります。その特性を理解し、特に煮物などでこの順序を活用すると、素材が生きてより美味しくなるそうです。ある記事では、同じ素材を利用し、正しい順序と順序を入れ替えた料理を比較する実験をしていました。分析結果を見ると、肉の甘み成分や野菜の食感などが異なっていたそうです。
 

※参考:オリーブオイルをひとまわし(料理初心者の父親向けレシピ・料理のコツ紹介サイト)
 
 
 
■3.経営も料理と同じ。「さしすせそ」が大切
 

プロの料理人であれば、どの調味料をどれくらいどのタイミングで使うのか、素材を活かすためのポイントを見極めています。メニュー(誰に何を提供するのか)、食事を提供する場(どうなってほしいのか)という目的と照らし合わせ、見極めています。あえて使わない素材や調味料もあります。投入する順番を意図的に変えるケースもあるでしょう。状況を見ながらタイムリーに調整をします。初心者のように、でたらめに投入し、素材を殺してしまうような失態はしません。
 

経営も料理も同じです。素材を活かすのか、殺すのか、社長が調味の基本を把握しているか否かにかかっています。素材を活かす「さしすせそ」を大切にしてください。
 

一度、経営における「さしすせそ」を考えてみると良いかもしれません。参考までに、プロジェクトを成功させるための「さしすせそ」の一部をご紹介します。
 
【さ】サポートする仕組み … ヒトはそもそも動物です。それほど意識は強くありません。感情や本能による不具合を減らすサポートを仕組みとして設けることが必要です。
【し】進化・成長する○○

【す】全てを包み込む○○
【せ】成果に集中する○○○○
【そ】創意工夫する○○
 

当コラムでは、【し】以降をあえて○○○と伏せておきます。なぜなら調味料の名前をお伝えしただけでは、使う意図や留意点を十分に理解できないからです。プロの料理人が、素材や調味料の特徴を把握しているように、経営者はプロジェクトを成功させる「さしすせそ」の意図や留意点を理解しなければなりません。そうしなければ、素材が死んでしまいます。当然、業績を上げることもできないでしょう。
 

同じような取り組みをしても、上手くいく会社もあれば、失敗する会社もあります。同じ会社でも、上手くいくケースもあれば、失敗するケースもあります。
 

素材を活かす社長は、基本の順番を守り、絶妙なタイミングで調味料を投入します。
 素材を殺す社長は、基本の順番を無視し、思いつきで調味料を投入します。
 

経営も料理も素材を活かす「さしすせそ」が大切。何事も順番に留意してください。
 

新たなプロジェクトを実施するとき、何らかの仕組みづくりに専念するとき、ぜひ経営における「さしすせそ」を考えてみてください。順番がとても大切です。そして、「我が社に、こんなにも可能性が眠っていたんですね。」という感想をお聞きするのをとても楽しみにしております。

 

※当社は、「社長も社員も心から安心できる状態をつくる【3年分 受注残をつくる経営(業績3年 先行管理の仕組み)】」を提供しております。全社員が進化成長しながら稼ぐ、独自の仕組みです。ちょっとしたコツ(順番)を知っているか否かで、成果が全く異なります。仕組みづくりプロジェクトにおける「さしすせそ」に興味がある方は、ぜひ弊社セミナーご参加ください。

 

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