第115話緊急対策 成功する社長はどう判断するか?
「いやはや大変な状況ですよ。ここまで影響が広がるとは…」
先日、S社長からご相談をいただいたときの一言です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、人々の思考パターン・行動パターンが大きく変わりました。先週には、政府から要請もあり、日本全国のイベントは中止や延期、人が集まる公共施設や学校は休止や休校となりました。
連日、テレビやウェブではこの話題で大騒ぎです。デマ情報によるトイレットペーパー等の買占めも起きました。社内を見渡すと、こういった情報に躍らされたり、必要以上に不安を感じている社員も多いものです。
このとき、社長は主に2つのことを考えています。一つは、我が社の業績・資金繰りは、人々の消費行動の変化によってどうなるのか? もう一つは、我が社の緊急対応は正しい判断なのか? という点です。
< 社長は、社会情勢をみて正しい判断をしなければならない > → これは誤り
正しい判断。こう考える社長は、注意が必要です。なぜなら正しい・間違いの判断軸に誤りが含まれているからです。つまり判断軸の前提を認識していないからです。
判断軸の前提とは、いったいなんでしょうか?
そもそも人間は動物であり、生存欲求を持っています。ただ、人間は感情を持った動物であり、生存欲求を満たすために感情の力を活用しています。つまり、人は好き(安心)・嫌い(怖い)で判断しているのです。
実は、この感情が曲者です。生存欲求を必要以上に拡大させる拡張器と同等の機能を持っています。しかも、事実の受け止め方を歪曲させてしまうという不具合が付いてきます。
そして、意識的な人間は、正しいのか・間違いなのか、で判断しているつもりです。ただ、これは脳科学的・神経科学でも証明されている通り、感情的な好き(安心)・嫌い(怖い)で判断した結果を、意識的にもっともらしい理由を付けをしている構造になっています。つまり、意識は感情に支配されているのです。
ですから、冷静に正しい判断しているつもりでも、実は感情によって拡張され、さらに歪曲された事実モドキを真実だと信じ、好き(安心)・嫌い(怖い)で判断しているのです。
今回の出来事が全てを物語っています。ウイルスへの感染リスク・死亡リスク、具体的な予防策を鑑みると、それほど大騒ぎすることではありません。
にも関わらず、日本中が感染におびえ、大騒ぎをしています。これは、新型コロナウイルスに騒いでいるのではなく、恐怖が連鎖した「感情ウイルス」に汚染されているだけなのです。
これが、非常に厄介です。恐怖は人を動かす力がとても強いため、合理性の低い誤った判断のまま人々が暴走し始めるからです。
そして、暴走し始めた人々を見て、周辺の人々が不安になりさらに暴走します。この連鎖が進み、社会全体が暴走していきます。こうなると極限まで暴走しなければ、騒動は治まりません。
ですから、社長が社会情勢をみて正しい判断をしようとすればするほど、暴走した社会全体の恐怖に囚われてしまうのです。社員の声に耳を傾ければ傾けるほど、判断を誤ってしまうのです。
同業他社の動向や、周辺地域の状況を見て、同じような対策を導入してしまう。結局、自社も暴走の片棒を担ぐようなことをしてしまうのです。
一方で、成功する社長は異なります。正しい判断ではなく、意思から判断するのです。
人間を意識を超えて、社会が良くなるために我が社がなすべきこと(大義)を踏まえ、正しい・間違いを超えた【意思】を持って判断するのです。この意思は、左脳的な論理性だけでなく、右脳的な感性も踏まえ、中庸の位置に立った判断です。
感情によって拡張されたり、事実を歪曲されたりしたものではなく、感情を認識しつつも、冷静に事実を確認し、意思から判断するのです。
つまり、社会情勢を鵜呑みに流されるのではなく、自分の頭で考え、自身のエゴを脇において事実を確認し、意思から判断するのです。
< 普通の社長は 正しい判断 成功する社長は 意思から判断 >
先日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染予防に向けた指針を発表しました。
(1)せきやくしゃみといった症状がない人は、マスクを着用する必要は無い。(供給不足に拍車を掛けないためにも過度の使用を控えること)
(2)最も効果的なのは、手洗いの励行や、顔や目をむやみに手で触らないといった衛生上の注意点を守ること
現状の暴走を抑えるため、冷静に対応するよう求めていました。
実際、ウイルスのサイズが、通常のマスクの網目よりも100分の1以下であることも1ヵ月ほど前から情報を見つけることができました。また、人の免疫力を高める生活習慣(睡眠、運動、笑いなど)を推奨した方が、安価で効果的です。
ですから、自社の対応は意思を持って判断すること。さらに、社会情勢は「感情ウイルス」によって支配されているため、この潮目と潮目の変化を先読みし、前もって我が社が勝つための手を打っておくこと。これが、成功する社長の判断の仕方です。
先週のコラムでも同じ観点をお伝えしました。世論が大きく動いている今だからこそ、御社は同業他社の真似をしたり、指を咥えて眺めている場合ではありません。
今すぐ、先行経営メンバーを招集し、世論を逆手にとりましょう。世論を飲み込むような策を企て実行してください。適切なリスクを取ることは、社長自ら意思を持って判断をしてください。それが御社の生きる道です。
※追伸:当社は、社長が意思から判断する仕組み、社員も社長の意思を理解する仕組みとして 【3年分 受注残をつくる変革経営】(3年先行経営の仕組みづくり)を公開しております。弊社セミナーだけでお伝えする具体事例やその留意点があります。心理的なハードルを下げて組織を進化させる「変革の方程式」など、一つひとつ順を追ってお伝えします。興味のある社長様は、ぜひセミナーにご参加ください。
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