ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第59話自社の変革スイッチ。二つの側面からONにせよ

準備ができたら、社員がやるといったら、タラタラちんたらしていても、変革は始まらない。
第59話:「自社の変革スイッチ。二つの側面からONにせよ」(準備ができたら、社員がやるといったら、タラタラちんたらしていても、変革は始まらない。)

 
 

「いつまで待ったらよいものか…」
 

先日、ある経営者様からご相談をいただきました。
 

現状はしっかり利益をだせている。ただ、将来を考えるとこのまま続くとは思えない。今のうちに手を打たなければ…。また、いつまでもトップダウンでゴリゴリやるのではなく、社員からのボトムアップも強化したい。
 

このように考える経営者様は多いものです。そして、いろいろと準備を進めています。また、社員の主体性を引き出すために、あえて待つようにしています。
 

「もう少し準備ができたら…」
 「社員がやると言い出すまでは…」
 

一見すると、今の時代にあった経営スタイルの経営者様に見えます。しかし、このような会社は、どれだけ時間をかけても、一向に変革は進みません。なぜなら、変革は待つものではなく、はじめるものだからです。それでは、どのようにはじめるのでしょうか。自社の変革スイッチは、いったいどこにあるのでしょうか。
 

今週は、変革スイッチについて、考えていきます。
 
 
 

■1.準備ができたら変革がスタートするのか
 

準備ができたら、変革がスタートする。
 

本当にそうでしょうか。変革とは、現状のやり方・ルールを変えることです。このとき、過去の経験や成功体験とは異なるパターンに着手します。基本的には、誰もが未経験のことに挑戦するのです。つまり、何をどこまで準備をしたらスタートして良いものか、誰もわかりません。
 

このとき、すぐに「準備は、大丈夫です」と考える社長は、軽率かもしれません。求める基準を低く設定しています。そして、障害に2度、3度ぶつかると、「これじゃなかったかな」と安易に考えを変えて、違うことをはじめます。
 

一方で「準備は、まだまだです。気になる点があって…」と考える社長は、慎重派です。求める基準が高く設定しています。そして、事前にあれも必要だ、これも必要だと、下準備を続けているうちに1年、2年と経過してしまいます。
 

つまり、準備を基準に考えていると、表面的に変革がはじまってすぐに頓挫するのか、いつまでたっても変革がはじまらないのかのいずれかです。本当の意味で変革はスタートしません。結局、何も変わることはないのです。
 
 
 

■2.社員がやるといったら変革がスタートするのか
 

実行部隊の社員がやるといったら、変革がスタートする。
 

本当にそうでしょうか。繰り返しますが、変革とは、現状のやり方・ルールを変えることです。このとき、過去の経験や成功体験とは異なるパターンに着手します。基本的には、誰もが未経験のことに挑戦するのです。つまり、どうなるかわからないことをスタートして良いものか、誰もわかりません。
 

このとき「今すぐやりましょう!」と言う社員がいます。この安易なタイプは、無責任な人が多いものです。社長が何かをやろう!と言ったらすぐに太鼓を叩きはじめます。そのくせ何か問題が発生すると、一目散に逃げ出します。他人に責任を振り向けて、評論家を気取ります。
 

一方で「本当にやるんですか。考慮すべき点が沢山あって…」と言う社員がいます。この慎重なタイプは、分析や調査を好み、保障を求めるものです。このままでは、できない理由をひたすら並べます。リスクを恐れ、下準備の必要性を唱え、石橋を叩き続けます。
 

つまり、社員がやるというまで待っていても、表面的に変革がはじまって頓挫するか、いつまでたっても変革がはじまらないのかのいずれかです。こちらも本当の意味で変革はスタートしません。結局、何も変わることはないのです。
 
 
 

■3.変革スイッチは、どこにあるのか
 

< 準備ができたら、社員がやるといったら、タラタラちんたらしていても、変革は始まらない。>
 

なぜなら、変革は待つものではなくはじめるもの。社長以外の外からではなく、社長自身の内側からはじめるものだからです。これが原理原則です。
 

大切なことなので繰り返します。変革はどこかからはじめるのか。組織の最高意思決定者である、社長の内側からはじめるものです。つまり、変革のスイッチは、社長が握っているのです。
 

何を当たり前のことを…と思うことでしょう。常に危機意識を持った、創業経営者やすでに何度も変革を成功させた社長にとっては、当然のことです。
 

一方で、冒頭の「もう少し準備ができたら…」「社員がやると言い出すまでは…」と考えている社長は、危機意識が薄れているのかもしれません。
 

“会社は潰れるようにできている”という前提を忘れ、“会社は安泰。永遠に続くもの”と油断をしているのではないでしょうか。危機意識が薄れているから、もう少し後で、もう少し待とう、と時間を浪費してしまうのです。
 

「もし、今現在の儲かる仕組みがあと3年でなくなったとしたら…」と強引に考えて、危機意識を呼び起こしましょう。御社の将来は、現状のままで本当に大丈夫でしょうか。
 
 
 

■4.変革スイッチの二つの側面とは
 

誰が何と言おうと、社長が変革スイッチを握っています。組織における役割と責任から考えると、当然のことです。このとき、本当の意味で変革をスタートするには、どうしたらよいのでしょうか。この答えは、二つの側面からONにすることです。
 

まずは「新たにはじめることを決断する」という側面です。
 

自社の将来を見据え “やるか、やらないか” といった根本的な意思決定は、基本的に社長しか決められません。社員に決めさせることは、社長の仕事を放棄していることと同意です。
 

また、あえて社員にゆだね、会議等で決定させたとしても弊害ばかり招きます。まず決断できません。そして、何よりも時間がかかりすぎます。もし決まったとしても合議制で決まるため、無難な決定となります。いずれもたいした変化は起こせません。
 

何をやるのか。社長が決めること。準備ができたら “やる” と決めるのではなく、“やる” と決めてから、具体的な方法を考えるのです。どのように進めるのか、誰がいつ何をするのか、実行プランや役割分担は、社員とともに決めると良いでしょう。自分達で決めたというプロセスが、納得感を高め推進力になるからです。
 

もう一つは「新たにやめることを決断する」という側面です。
 

これも、例外なく社長の仕事です。特にやめることは、社員では決められません。口頭でやめることを伝えたとしても、浸透せず中途半端に組織のルールとして残ります。やめることを決めぬまま、新たな取り組みを社員にやらせていると、やることが増え、どれも体裁だけの活動になります。
 

< あれも重要、これも重要、こんな会社は、どれも微妙 >
 

やめることを決断し徹底してやめさせること。限られた経営資源を集中しなければ、変革は起こせません。
 

結論。
 

変革のスイッチは、社長が握っています。そして、このスイッチは、新たにやること・新たにやめること、という二つの側面を決めることでONに切り替わります。この二つの決断をしたうえで、全社に浸透させましょう。
 

どれだけ準備をしても、どれだけ社員のやる気を待っても、我が社の変革ははじまりません。社長自身が変革のスイッチを押さなければ、社長も社員も目の前のチャンスに気づきません。あなたの会社も、すでに何度もチャンスを見逃しています。御社はどれだけチャンスに気づいていますか。次にくるチャンスに気づき、確実に掴むためにも、社長自ら変革のスイッチをONに切り替えましょう。
 
 
 

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