ノートとペン 今週の「コジマ式 先行経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第22話SFAを導入する前に、経営者がすべきこと

インスタント社長は、ツールを盲信する 熟成上手な社長は、ツールを育成する
第22話:<SFAを導入する前に、経営者がすべきこと>(インスタント社長は、ツールを盲信する 熟成上手な社長は、ツールを育成する)

 

「○○社のSFAを導入することにしました。我が社の営業組織もこれで強くなると思います。念のため確認したいのですが、何か注意すべき点はございますか?」
 

SFAとは、営業支援システム(セールス・フォース・オートメーション)のことです。営業活動全般の効率化を図るために、営業活動を“見える化”するツールです。パソコンやスマートフォンを使い、顧客管理・案件管理・営業活動管理と分析を行います。
 

「目減りする売上を、何とか取り戻したい」
 「競合他社にいつも負けてしまう」
 「顧客に提案しても、なかなか受注につながらない」
 「営業パーソンの発揮能力にバラつきがある」
  …など。
 

このような悩みを具体的に解決するツールとして、多くの経営者に認知されています。そして、SFAを提供するシステム会社自身が、自らツールを使いこなし、積極的に営業活動を展開しています。
 

冒頭の質問をしたT社長のところにも、SFAを提供する会社の社長自ら、トップ営業に来たそうです。通常であればお断りをするT社長も、上場会社の代表が自ら来社するとのことで承諾しました。事前の郵送DMと女性スタッフによる電話アポイント、トップとの面談、面談後の営業担当者によるフォローなど、営業活動全般の流れがとてもスムーズだったとのこと。「我が社も、同様の営業活動ができれば、圧倒的に強くなれる」と感覚的に理解し、導入することに。
 

念のため、経営者仲間に導入事例を聞いたそうです。すると、上手くいった事例よりも、失敗した事例が多かったとのこと。そこで、上手くいった経営者の紹介を受け、セカンドオピニオンとして小島を指名しました。
 

T社長にいくつか質問をすると、「とにかくSFAを導入すれば、現状の問題は何とかなる」と思っているようでした。
 

「このまま導入すれば、失敗事例になるでしょう。最低限留意してほしい点は、…」
と率直にお伝えすることにしました。
 

なぜなら、小島は経験上
・インスタント社長は、ツールを盲信し、失敗する
・熟成上手な社長は、ツールを育成し、成果につなげる
というケースを何度も見てきたからです。
 

今週は、SFAを導入する際の、留意点をお伝えします。もし、御社が導入を検討していれば、ぜひ参考にしてください。

 

 

 

■1.SFA導入・活用で失敗する会社とは
 

早い話、インスタント型の社長は、ツールを盲信します。手っ取り早く成果を求めると、失敗します。運よく上手くいったとしても、一時的なものです。長続きしません。
 

(1)<仕組みづくりの知識・経験が不足しており、結果として受け身になる会社>は、失敗します。
 

SFAを提供する会社は、豊富な導入実績や、操作の容易さ、充実したサポート体制に加え、「営業プロセスの最適解を確実に提供できる」と売り込みます。仕組みづくりが不足している会社は、「最適解が手っ取り早く手に入る」と思い、導入を決意します。
 

しかし、ここに問題があります。実は、最適解と呼ばれるものは、業種・業界を超えて標準化した<教科書的な解=(ある意味どうでもよい)無難な解>になっています。教科書的な解は、1,500円程度の書籍に載っています。また、知識だけでは、分かっちゃいるけど実行できないでしょう。これまでと変わらず、無難な結果しか導けません。無難な営業では、利益を生み出せません。無難な営業プロセスだけでは自社の潜在能力を引き出せません。
 

なぜなら、自社ならではの知恵が出せないからです。仕組みづくりの知識・経験が不足していると、自社に相応しい営業プロセスに変換することができません。
 

このような会社は、結果として受け身で導入します。しかし、SFA導入費を支払うだけでは、システム会社から「営業プロセスの設定は、自社で考えてください。」と言われてしまいます。そこで、高いコンサルティングフィーを支払います。しかし、導入コンサルティングを受けたとしても、標準化した(無難な)プロセスのみを導入することになります。実際に成果を出している競合他社の営業プロセスは、守秘義務があり公開できないからです。また、こっそり公開されたとしても、上手くいきません。企業文化の違う会社のプロセスを真似しても、そもそもの土壌が違い無理があるからです。
 

いったい何が問題なのか。そもそも、はじめから助けを求め、手っ取り早く答えを教えてもらおうとする姿勢が問題です。仕組みづくりのコツをそもそも理解していない状態で導入しても、必ず失敗します。小さくても良いので、SFA導入前に仕組みづくりの筋トレをしてください。導入前に、仕組みづくりの知識・経験を増やすことが必要です。
 
 

(2)<トップダウンで導入し、管理職・営業パーソンの賛同を得られない会社>も、失敗します。
 

立場によって求めるものが変わります。例えば「経営者は売上(業績)を上げたい。」「管理職は、営業活動を分析し施策を考えたい。」「現場の営業パーソンは、少しでもラクに成果を上げたい。」と考えています。経営者は、これを実現するツールとしてSFAを導入しようと決意します。
 

しかし、ここに問題があります。実は、それぞれの立場にメリットがあるツールも、トップダウンで導入するだけで、逆効果になるからです。導入の目的や使い方を理解する前に、社員が誤解します。そして、水面下でネガティブキャンペーンを開催します。社長の気づかぬうちに、導入プロジェクトを失敗させようとする大きな力が働くのです。
 

なぜなら、社員の既得権が失われるからです。今まで管理職・営業パーソンは、営業会議をしのげば何とか身の安全は確保できていました。それが、SFAを導入すると顧客情報・案件情報・営業活動情報がリアルタイムに共有化されてしまいます。本来、相互協力しあうために情報を共有するものですが、社員はネガティブにとらえます。「社長や営業部門長に徹底的に監視されるツールだ。手間が増えるだけで、丸裸にされる。自身の安全が確保できなくなる」と信じているからです。中にはGPSで追跡されていると思う社員もいます。(実際に追跡している会社もあります)
 

安易にトップダウンでSFAを導入すると、間違いなく失敗します。導入前に、社員自ら仕組みづくりを体験し、ツールへの抵抗感や情報共有への抵抗感を減らすことが必要です。そして、仕組みをさらに進化させる一つの手段として、SFAを導入すると良いでしょう。社員の立場から見て「現場の声を吸い上げて導入することになった」と感じてもらうことが大切です。

 

 

■2.SFAを導入する前に、経営者がすべきこと
 

早い話、熟成上手な社長は、コツコツとツールを育成します。同時にツールを生かす社員も育成します。そして、育成には時間を要することを知っています。成長レベルに合わせた関わり方をして、組織を強くします。だから成果につながるのです。
 

このときの最大のポイントは、経営者として理想の状態を見据えつつも、現場では赤ちゃんでもクリアできるほど簡単な一歩からはじめること。そして、徐々にハードルをあげることです。
 

レベルに合わせた関わり方が必要です。赤ん坊は、小学校の授業を理解できません。小学生は、大学校の授業を理解できません。赤ん坊には、赤ん坊に相応しい学びがある。小学生には、小学生に相応しい学びがある。できるところから、一歩ずつレベルを上げること。まずは、ベイビーステップではじめ、ステップバイステップでレベルをあげること。子育てと同じです。当たり前のことですが、ついつい欲張って要求してしまいます。ぐっと堪えましょう。
 

実際に体験しないと、知恵という筋力は身につきません。「手っ取り早く」を優先すると、我が社に適していない営業プロセスを無理やり導入し営業組織を機能不全にしたり…、営業社員のネガティブキャンペーンに負けてそもそも使われなかったり…。結局は遠回りをすることになります。
 

SFAを導入する前に、次の2点を実施してください。
 

(1)仕組みづくりの知識・経験を積み、社員の筋力(仕組みづくり筋)を強化する
 (2)管理職・営業パーソンなど、現場からツールを導入しようという状態をつくる
 

経営者として、辛抱強く向き合わねばなりません。育成とはそういうものです。
 

とはいっても、「手っ取り早く…」と考える方もいるでしょう。せっかく当コラムをお読みいただいているあなただからからこそ、苦言を呈することにします。良薬が苦いように、本質的な気づきも苦いものです。飲み込むか否かは、お任せします。
 

システム会社から見ると、手っ取り早く導入しようとする会社は、上得意様です。分かりやすく言えば、特大のネギを背負った肉付きの良いカモです。
 

なぜなら、導入費用だけでなく、導入に関するコンサルティング費用も請求できる。継続利用料も徴収できるし、ちょっとした仕様変更を提案し、追加費用も請求できるからです。これら一式の費用は、営業パーソンの人数にもよりますが、数百万円でおさまらず、千万円単位になります。請求金額を一桁増やすことができます。本来であれば、5分の1、10分の1の投資で活用できるツールにも関わらず、簡単に倍増させることができるのです。仕組みづくりのコツを知らないが故に、大切な我が社がシステム会社の餌食になってしまう…。それでも良いのでしょうか。
 

このとき、仕組みづくりのコツを知っている社員が一人でもいれば、過剰請求を阻止できます。自ら知恵を出すことができるため、コンサルティング費用を削減できます。そして、カスタマイズ費用として変更の都度、数十万・数百万請求されることも防げます。社員が、ちょっとした設定変更をすれば応対できることを見抜けるからです。
 

小島と共に筋トレをしたのち、SFAを導入した企業様は、実際に何度も過剰請求を阻止しました。そして、何よりも我が社にあった最適な営業プロセスを試行錯誤をしながら見つけることができるようになりました。我が社に必要なものを見極められる社員に相談するのか、とりあえずシステムを売りたいだけの営業担当者に相談するのか。言うまでもありません。
 

御社は、遠回りのように見えて確実な道を歩むのか、近道に見えて遠回りをする道を歩むのか。我が社の勝負ポイントを見極める立場としてどちらを選択しますか。確実な道を歩むのであれば、小島の経験則から効率よく熟成させる(育成する)コツをお伝えすることができます。SFAの導入を決める前に、今一度、何を優先させるべきか考えてみてください。
 
  
 追伸>
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