ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第67話社長の器。我が社を伸ばす社長とつぶす社長

困ってからではなく 困る前に相談できる それが真の経営者
第67話:「社長の器。我が社を伸ばす社長とつぶす社長」(困ってからではなく 困る前に相談できる それが真の経営者)

 

“会社は、社長の器以上に大きくならない”
 

会社(組織)は、社長(トップ)の器以上のものにはなりません。我が社を、立派な会社や組織にしたい。社会にさらなる価値を提供しつつ、社員も豊かになってほしい。自社を次のステージに引き上げたい。そう願うのであれば、社長自身、人間力を高めて己の器を大きくするしかありません。
 

先日、この社長の器について、相談を受ける機会がありました。
 

「これまで必死にやってきたのですが、もう限界で…」
 

M社長は、小島に悩みを打ち明けました。創業から10年。仕事量の増加にともない、売上も順調に伸ばし、社員や協力会社も増やしてきました。しかし、この3年程は、業績も社員数も頭打ちになっていました。社員が30名を超えたあたりから、もぐら叩きのようにさまざまな問題が発生していたのです。日々、社長自身や幹部社員で火消しをしながら、必死に現場を回してきました。
 

「社長である私の器次第だと思うのですが…」
 

結局は、社長の器次第。その通りです。しかし、どうしたら社長の器が大きくなるのか分かりません。社長の器を、人間力ととらえると手が打てません。なぜなら、抽象的すぎるため、具体な方法がイメージできないからです。そこで、もう少し現実的に社長の器を考える必要があります。
 

今週は、この社長の器を現実的に考えるために、我が社を伸ばす社長とつぶす社長を比較しながら、対策を考えていきましょう。
 
 
 

■1.社長の器。我が社をつぶす社長。
 

器が小さい人は、感情に振り回されやすく、己を律することが苦手です。上手くいかないことがあると、怒りのエネルギーを相手にぶつけます。何らかの活動が失敗すると、環境や他人のせいにしてしまうのです。原因他人論で考える人です。そのくせ、上手くいくと自分の手柄にします。
 

サラリーマン経験のある社長であれば、かつての上司や先輩を思い出してください。「アイツにはついていきたくない」というタイプの人物です。退職者や休職者が高確率で発生する組織のトップは、間違いなくこのタイプです。
 

仕組みが確立されている会社であれば、なんとか既存業務を回せます。しかし、まだ仕組み化ができていない会社であればすぐに組織をつぶしてしまいます。このタイプの社長がいたらNGです。これは、分かりやすいでしょう。
 

問題は、別のタイプ “良い取り組みをしている” と信じている社長です。
 

具体的には、社長の想いを社員に伝えようと日々努力している社長です。指針となる考え方を浸透させることが重要ととらえ、理念経営を体現しようとしている社長です。
 

このタイプの社長は、経営理念や行動指針を自分の言葉で明文化しています。そして、会議や打ち合わせの度に、自身の考え方を伝えます。朝礼では、全社員で唱和をしたり、理念に基づいたコメントを求めたりします。
 

一見するととても良い取り組みをしています。しかし、ここに落とし穴があるのです。社長が “自分の想いを伝えたい” と思えば思うほど、 “自分の考えを理解してほしい” というエゴが大きくなります。すると、社員は理想と現実のギャップに違和感を感じるようになります。そして、 “現場の気持ちを社長は理解してくれないだろう” と誤った認識をしてしまうのです。
 

社員は、表面的には社長に耳を傾けているように見えます。しかし、実際はただの指示待ち社員になっているだけです。理念に基づき社員の自発性を求める社長と、単なる指示待ち社員。お互いに 「自分の立場を理解してほしい」 「なぜ理解してくれないんだ」 と不満が募っていきます。客観的に見れば、社長の器が小さくまとまっていることが分かります。しかし、本人は気づきません。
 

<社長の想いを伝えるほど、組織力は低下する>
 

この状況が続くと、中長期的に我が社をつぶす原因になります。分かってほしいというエゴ同士がぶつかり、お互いに相手の立場を理解したり、協力体制を築いたりできません。最終的に、組織が停滞させてしまうのです。
 
 
 

■2.社長の器。我が社を伸ばす社長。
 

それでは、いったいどうしたら良いのでしょうか。
 

それは、 社長が <社長の想いを伝える努力> と同様に <社員の想いを理解する努力> をすることです。
 

社長は、組織の最高意思決定者です。ですから、全責任を背負い、経営判断をしなければなりません。また、社長と社員は見ている景色が異なります。だからこそ、社長の想いを社員に伝える必要があります。これに間違いはありません。
 

ただ注意しなければならないのは、それだけでは不十分だということです。なぜなら、社長が見えていない景色もあるからです。これを考慮したうえで判断しなければ、重要な決断を誤ってしまうからです。つまり、社員の想いも理解することが必要なのです。もちろん迎合するような低いレベルの話ではありません。
 

サラリーマン経験のある社長であれば、かつての上司や先輩を思い出してください。「あの人には協力したい」というタイプの人物です。毎年目標を達成したり、新規事業を軌道のせたりする組織のトップは、間違いなくこのタイプです。不完全なところがあっても、理屈では難しいことがあっても、自然と協力体制を築き、問題を解決していきます。
 

これを実現している組織は、社員がトップに素直に相談しています。また、このとき自分の考えを素直に話すことができます。信頼関係が築かれているのです。これが目安です。客観的に見れば、社長が社員の声に耳を傾けるだけの器があることがわかります。社員を理解したうえで、社長として社員にやるべきこと示せるし、社員のアイデアもさらに引き出せるのです。
 

<社員の想いを理解するほど、組織力は強化する>
 

この状況ができれば、中長期的に我が社を伸ばす要因になります。相手の立場を理解したうえで、協力体制を築くことができます。だから、組織を次のステージ進化させることができるようになるのです。
 
 
 

■3.もっと伸ばす社長は、さらに先手を打つ。
 

相互理解を進めるためには、どうしたら良いのでしょうか。精神論では限界があります。だからこそ、社長が努力する対象は精神ではありません。仕組みづくりなのです。我が社を伸ばす社長は、相互理解の方法を仕組みで構築していきます。
 

また、経営資源は限られています。すべてを理解しあう余裕はありません。だから、新たな業績を生み出すことに絞って相互理解を深める仕組みを構築してください。しかも、困ってから理解しあうのではなく、困る前に理解しあう仕組みです。だから、前もって協力体制を築き、対策を打つことができるのです。
 

<困ってからではなく 困る前に相談できる それが真の経営者>
 

実は、困る前に相談するのは、社員だけではありません。社長も含まれるのです。双方向で相談しあえる関係が理想です。こういった先行経営の仕組みができれば、社長も落ちついて自社の経営に専念することができます。
 

すると、自然と社長の器も大きくなるのです。やがて、新たな価値を社会に提供することに注力できるようになります。大きな器、利他のこころでいられるのです。
 

“会社は、社長の器以上に大きくならない”
 

M社長は、これを精神論で考えていました。変化をうながすために、視点を変えましょう。仕組みで器を大きくするのです。
 

御社は、今、どのように相互理解を進めていますか? それは、精神論ではなく仕組みによるものですか。
 

仕組みにすることで、再現性を高めることができます。我が社を次のステージに引き上げるために、どのような仕組みが必要なのか、じっくりと考えてみてください。次の時代は目の前です。さぁ、今、前もって手を打ちましょう。新たな仕組みづくりに着手するのは、御社の番です。
 

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