ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第98話できる社長と美味しいチャーハンの関係

平凡社長は、炊きたて白米にこだわる。できる社長は、ベタベタチャーハンを嫌う。
第98話:「できる社長と美味しいチャーハンの関係」(平凡社長は、炊きたて白米にこだわる。できる社長は、ベタベタチャーハンを嫌う。)

 

「我が社の経営理念は……」 
 「中期経営計画として……」
 「今期の目標は……」
 

社長は、理想を掲げる生き物です。
 

向上心の高い社長ほど、熱心に理想を掲げます。そして、そこで働く社員に対して、理想を目指すように発破をかけます。なぜなら、社長は会社の全責任を背負う立場であり、「倒産」 という二文字は、許されないからです。
 

総務省・経済産業省から平成30年に発表された経済センサス(平成28年-活動調査)によると、日本には約386万社の会社が存在しています。この10年ほどで約40万社減っています。生活の中で環境の変化を実感する場面も多く、嫌でも危機意識が芽生えてきます。
 

会社の数だけ、事業の内容も社長のタイプも異なります。その一方で、経営の原理原則や経営者ならではの共通点もあります。理想を掲げているという点は、その代表例です。ただ、社長によって、理想の扱い方が大きく異なります。
 

ざっくりいえば2パターンあります。その違いによって、その会社が赤字傾向にあるのか、黒字傾向にあるのか、おおよその業績が分かります。
 

早い話、<平凡社長は、炊きたて白米にこだわる。できる社長は、ベタベタチャーハンを嫌う> というものです。
 

平凡な社長ほどは、「炊き立ての白米」 にこだわっているのです。つまり、必要以上に理想にこだわるのです。
 

ある社長は 「清く・正しく・美しく」 を探求していました。某劇団の舞台作品や某歌手の曲名ではありません。正論を求めていたのです。また別の社長は 「物心両面の幸福を追求する」 ということを目指していました。誰もが反対しようのない表現で、徳のある会社になろうとしていました。
 

いずれも、魂を高めるが如く崇高で清らかなものを追究しています。いわば、ラーメンといった麺類や、お好み焼きといった粉モノではなく、炊き立ての白米にこだわっているのです。
 

ラーメンはスープや具材が絡みすぎ、お好み焼きは小麦粉がつなぎとなり癒着しすぎ。そうではなく、もっと清らかなもの、炊き立ての白米が好きなのです。
 

つまり、正論を掲げて徹底させようとしているのです。社員のあるべき姿や、理想の商品・サービス、業績目標の達成を、自社の社員に要求します。
 

さらに 「決めたことはしっかりとやり切れ」 「環境変化に合わせてやり方を見直せ」 と理想は高まるばかりです。「徹底しろ!」 が口癖です。そして、構造そのものを見直すことは、後回しにしています。
 

清らかな理想は、とても素晴らしいことです。しかし、あくまで方向性です。高く掲げた理想の姿が、仕事の合格基準となると、いろいろと弊害が出てしまいます。
 

その代表例が人事考課です。理想を徹底させる社長は、評価を減点方式で考えます。○○であるべきだ! という <べき論> を判断の基準にするからです。
 

すると社員は失敗できません。リスクを恐れ目立たぬよう無難に過ごします。だから、前例を踏襲し続けるしかありません。その一方で経営環境に合わせて変化しなければ、業績は年々厳しくなります。社員は活力を失い、事業はジリ貧となります。
 

これが多くの会社で見られる実態です。事実、理想と現実の間に大きな隔たりがあり、その差を埋めることは困難なのです。社員ははじめから諦めています。挑戦する前から限界を感じているのです。
 

稀に挑戦する社員がいます。ところが、失敗を許容できる社長や上司がいません。「本当に大丈夫?」 「成果は確実だよね?」 と余計なことを言ってしまいます。ですから、活気のある社員も、徐々に挑戦することを諦めます。
 

そして、仕事がつらいものとなります。どの社員も他者の出方を伺うようになります。冒険しません。社員同士がお互いに保身に走り、時間を経るごとに組織に閉塞感が蔓延していくのです。
 

この時、合否をジャッジする社長は、自身のことを棚にあげています。社長だって一人の人間。完璧ではありません。それにも関わらず、社員に完璧を求めて評価をしているのです。組織に無理が生じて当然です。会社が良くなるわけがありません。それが、平凡な社長の特徴です。
 

一方で、できる社長は違います。「ベタベタのチャーハン」 を嫌っています。あの 「ベチャッ、ベチャッ」 という不快な食感が耐えられず、お米と具材に必要以上に残った水分を、上手く飛ばします。手早く美味しいチャーハンをつくるのです。「炊きたての白米」 も良いのですが、そこまでこだわりはありません。
 

美味しいチャーハンの特長。それは、あのパラパラ感です。一粒一粒のお米に意思の固さを感じつつ、具材が絶妙なバランスで交わります。一口食べれば、素材単体では出せない旨みが広がります。具材が調和し、統合されているのです。そして、手軽に確実にお腹を満たしてくれます。
 

しかも、チャーハンのために召集された食材ではありません。もともと別の用途で集められた食材です。例えば冷蔵庫の中の残り物と冷凍した白米を使い、強火で手早く炒められているのです。そんな食材が、社長という名の料理長が扱う中華鍋の中で融合していくのです。醤油・塩・コショウ・ごま油などのシンプルな調味料がふりかけられ、魂が注がれるのです。
 

シンプルな基本のチャーハンもあれば、和風やピリ辛風などにアレンジしたチャーハンも魅力的です。もし、炊き立てのお米を使ったとしても、溶き卵でコーティングするなど、パラパラ感を演出することもできます。
 

つまり、できる社長は美味しいチャーハンをいつでもつくれる人なのです。限られた資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を使い、強火でパッと炒めて活力を吹き込み、一定の成果を出し続けることができる人なのです。
 

チャーハンのお米、一粒一粒がしっかりと立っているかの如く、社員一人ひとりの自立や自律を促します。社員が自らの意思をもち、自らを活かそうとしていくのです。
 

炊き立て白米のような清らかなものだけでなく、何日も冷蔵庫に眠っていた残り物であったとしても、上手く組み合わせていくのです。そして、構造そのものを見直すことも忘れません。
 

古くから言われる 「清濁併せ呑む」 いった表現でしょうか。社長自身もそこで働く社員も同じ。清い部分も、汚れた部分も持っています。ただ、それを受け入れ、上手く活用していくのです。ときには珍しい食材も投入し、縦横無尽に創造していきます。
 

本当の理想の企業経営とは、美味しいチャーハンづくりに似ているのです。純粋無垢なもの、炊き立ての白米にこだわらなくて良いのです。社長が理想を強く要求するあまり、社員と乖離してしまう。そんな状況は、早々に切り上げて、やり方を変えていくのです。そして、その会社が社会に存続する意義、目的を果たしていきます。
 

もちろん、方向性は清らかなもので良いでしょう。ただ、そのプロセスは美味しいチャーハンの方が良いのです。こう考えてみるだけで経営の突破口が見えてきます。社長は、肩の力を抜いてより良い方法を考えられるようになります。
 

失敗しても大丈夫です。その経験を次に活かしてください。そういうものです。そして、ちょっとしたコツを取り入れ、少しずつ実践で活用してみてください。気がついたときには、驚くほどチャーハンが美味しくなっています。
 

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