ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第92話チャンスをもぎ取る社長と見逃す社長の分岐点

機会を逃す社長は、いつだって反応する。機会を掴む社長は、判断して反応する。
第92話:「チャンスをもぎ取る社長と見逃す社長の分岐点」(機会を逃す社長は、いつだって反応する。機会を掴む社長は、判断して反応する。)

 

「時流にのってチャンスを掴む。ガッツリ稼ぎたいものですね」
 

先日、セミナーに参加なされたM社長のお言葉です。20数年程前、携帯電話が一気に普及しました。この時流の恩恵で急成長したある会社の話を聞いたからです。
 

2019年現在、米中の貿易摩擦、イギリスの合意なきEU離脱、日本の消費税増税、各種技術の伸展や人々の考え方の変化など、経営環境は目まぐるしく変化しています。いったいどうしたら良いのでしょうか。
 

経営の原理原則の一つに「不易流行」という言葉があります。社長は、我が社の残すべき点、変えるべき点を見極めなければなりません。そして、我が社という生命体を永続発展させるという役割を担っています。
 

「だからこそ時流にのってチャンスを掴みたい」 これに異論は無く、あるレベルでは小島も同感です。
 

しかし、この発想には、根本的な誤りが含まれています。なぜなら、“世の中にチャンスなんて存在しない” からです。
 

チャンスというものは、弱者が信じている妄想にすぎません。実態のないものです。チャンスは、強いリーダーがつくりだした虚像です。弱者を手なずけるための方便に過ぎません。
 

「(待っていれば)いずれチャンスはやってくるもの」 これは、弱者の発想です。
 

チャンスは、その言葉の中に偶然性を大きく含んでいます。たまたま、ひょっとして、というニュアンスがあるのです。そのため、努力や工夫の必要はなく、あわよくば という姿勢をつくりだします。
 

ですから、執念が必要な活動、つまり我が社を根本的に強くするための「組織の筋トレ」は、いつも後回しにします。目先のこと、手っ取り早く結果が出ることに注力し、日々それを追いかけているだけなのです。
 

チャンス追従型の社長は、ブームがやってくるとそれに群がります。ブームですから需要も供給も一気に膨らみます。そして、競合が多い土俵で戦い、価格競争におちいるのです。さらに、ブームが下火になると…。儲からないどころか投資費用を回収できなくなります。
 

この根本的な問題は 「社長自ら、他人のふんどしで相撲をとろう」 としている点にあります。
 

強いリーダーは、“我が社の生殺与奪権を自ら握ること” にこだわります。なぜなら 「我が社の将来を他人に委ねるなんてありえない」 と考えているからです。よく考える必要もなく実にシンプル。あまりにも当たり前のことです。
 

ですから経営者本来の姿勢を貫いています。それは “最悪を想定して準備し、楽観的に行動する” というものです。
 

社長が楽観的に行動しなければ、社員も顧客も付いてきません。しかし、楽観的に準備をしているようでは、あまりにも危険です。次から次へとやってくる数々の荒波を乗り越えられないでしょう。ですから、どのような状況であれ我が社が永続発展できるように、最悪を想定して準備をしていくのです。
 

つまり、強いリーダーにとって、ブームやチャンスの有無は関係ありません。いかなる状況であっても、我が社が生き延びるだけの機会を、自ら創りだしていくのです。どのような障害があったとしても、それを 「自らのり乗り越えてやろう」 という覚悟があるのです。
 

機会は、その言葉の中から偶然性を排除しています。目的や願望があり、それに対して行動した結果、ようやく生まれるものです。良し悪しといった意味を持ちません。景気がどうであれ、努力や工夫が必要なのです。それを分かっているから、前もって判断し、種を仕込み、試行錯誤を繰り返しているのです。そして、自ら機会を創り出し、それを商売にしていくのです。
 

さらに、その上で環境変化に応じて柔軟に反応しているのです。つまり、ブームに躍らされ反射的に反応するのでなく、自ら機会をつくりだし、自ら果実をもぎ取っていくのです。
 

< 機会を逃す社長は、いつだって反応する。機会を掴む社長は、判断して反応する。 >
 

チャンスをもぎ取る社長と見逃す社長の分岐点は、チャンスという概念を捨てる覚悟が あるか or ないか です。
 

チャンスを求める社長は、いつだってブームに反応しているだけ。踊らされてしまいます。チャンスとは、他人がつくった機会にすぎず、仕掛けたリーダーが有利になるフィールドだからです。そして、おこぼれを狙う社長は、結局その機会を逃すのです。
 

チャンスを捨てた社長は、前もって判断し、機会を仕込みます。だから、自らつくりだした機会をもぎ取れるのです。
 

チャンスを狙う狩猟民族では、これからやってくる氷河期を乗り越えられません。農耕民族として、これからやってくる氷河期に備えましょう。歴史が物語っています。いざとなれば狩猟もできる農耕民族、それが本当に強い会社です。
 

だから根本的に我が社を強くする「覚悟」が必要です。目先の大事なことを捨ててでも、本当に重要なことをやりきる「気迫」が必要です。もちろん、もぎ取るまでの道のりは、大変で苦労が多いものです。ラクではありません。しかし、それでも将来の我が社のために挑戦していくのです。
 

M社長にこのことをお話しすると、ゆっくりと頷き、背筋を伸ばしていました。
 

また、セミナーに参加なされた別の社長様のアンケートには 「現在、後戻りできない改革に挑んでいる…」 とご記入なされていました。覚悟を決めた社長は、とても強く頼もしいものです。
 

覚悟には、機会を生み出すために前もって仕込む側面もあれば、緊急事態を乗り越えるために過去を断つ側面もあります。
 

いずれの覚悟も将来の我が社を創るために必要なものです。一度、大切なものを破壊をしなければ、新たなものは創造できません。弊社は、自らのビジネスを自ら切り拓く本物の社長、覚悟を決めて挑戦する強い社長を応援しております。次は、御社が市場の開拓者になる番です!
 

 

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