ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第116話(合併号)チャンス到来? 新たな社風をつくるか、つぶれるか

新たな社風 つくる会社は生き延びる つぶれる会社は諦める
第116話:「チャンス到来? 新たな社風をつくるか、つぶれるか」( 新たな社風 つくる会社は生き延びる つぶれる会社は諦める )

 

「我が社は、変わらなければいけません。でも当社の社風では…」
 

先週、ご相談をいただいたS社長。その後、改めてご連絡をいただきました。
 

コロナウイルスを発端とする感情ウイルス(第115話)の影響は、計り知れません。人々の思考や行動は、新たなパターンで上書き保存されます。どういった変化が起きるのか、不確実かつ不透明な状況ですが、社会全体の消費構造が変わることは間違いありません。まさに有事です。
 

大手・中堅企業を中心にテレワークを進めています。また、柔軟に活動スタイルを変える個人事業主も目立ちます。WEBサービスを展開している会社は 『緊急支援として無償で提供します』 という大義のもと、潜在顧客の獲得に躍起になっています。
 

その一方、中小企業の対応にはバラツキが目立ちます。不特定多数の人に会う機会を減らしながらも、通常業務を続けている企業が多いようです。
 

当然、外部環境の変化で強制的に変わらざるを得ない側面も、従来のパターンでしのいでいる側面もあります。この時、社員の思考や働き方は2極化します。当たり前のように変化を受け入れる社員もいれば、変化を拒む社員もいるのです。
 

つぶれる会社は、大半の社員が変化を拒みます。仕事が激減したにも関わらず、「騒動が治まれば元に戻るだろう…」と妄想に浸り、ゆでガエルになっているのです。自分たちに危機意識が欠如していることさえ気がつかず、かつての状態を思い出し甘えています。
 

「今回のような有事が起きなかったら…」こんなことを考えても意味がありません。言うまでも無く、今回の出来事が起きたという事実は消せませんし、時間は不可逆的に進むからです。
 

「我が社は、変わらなければいけません。でも当社の社風では…」S社長の言葉にも甘えが感じられました。
 

「変わらなければ」では、変われません。「変われない組織は、死ぬしかない」社長自身に、この覚悟が必要です。有事であろうが、無かろうが、社長の甘えは社員に伝播しているのです。ですから、社長が社風を言い訳にしているようであれば、その会社は終わります。
 

社風の問題は、社長の問題です。現在の社風は、社長自身が従来の思考パターン・行動パターンを続けてきた結果です。もっとやれることがあったにも関わらず、優先度をあげて実施しなかった結果です。
 

そもそも、社風や組織風土は、社長が中心となってつくるものです。そして、戦略方向性や環境変化を見据え、意図的に前もって変えていくべきものなのです。
 

「この状況にも関わらず、社員に危機感が足りない。もっと自ら考えて動いてほしい」
 

もし、あなたがこう考えているのであれば、発想を切り替えましょう。なぜなら、今この瞬間は歴史的なチャンスだからです。社長自ら、変革を起こすのです。
 

社風を変えるには、通常では最低で3年間、定着させるまでに5~10年間かかります。その一方で、有事の場合は、この変革の時間を圧縮することができます。ここだけの話、千載一遇のチャンスなのです。
 

「変われない組織は、死ぬしかない」この正しい危機感を、覚悟を決めて伝えましょう。すると社会全体が変化への後押しをしてくれます。変革を掲げて本気で取り組めば、僅か1年で社風を変えられるのです。
 

過去のしがらみ、暗黙のルール、制約、習慣をリセットし、根本的に考え直して見ましょう。今後も必要なものなのか、止めてもよいものなのか、ゼロベースで見極めることのできる貴重なタイミングなのです。
 

ただし、中途半端に取り組むと組織は一気に弱体化します。新たな社風がつくれないだけでなく、古い顧客も失うからです。今まで以上に、社内に諦めムードが蔓延することでしょう。時代の変化も掴めず、旧態依然とした顧客も守れず、事業を縮小しても維持できなくなります。
 

< 新たな社風 つくる会社は生き延びる つぶれる会社は諦める >
 

新たな社風をつくるためには、社長は自身の覚悟を言葉にして伝えなければいけません。新たな理想の状態を明文化し、方針として打ち出す。具体的な基準や行動計画を文章にして示す。徹底的に吟味した我が社の将来展望を示し、語るのです。
 

自社の組織全体を巻き込む企てを、社長の言葉で具体的に示し、社員の迷いを払拭させるのです。そして、主要幹部とともにこのストーリーを磨き、全社に展開するのです。
 

注意が必要です。方針だけではいけません。スローガンになってしまい、現場は動かないからです。やらなかったもの勝ちになることは避けなければなりません。ですから、基準や行動計画を示すのです。
 

さらに、新たな取り組みは、試行錯誤が前提です。成果を担保できない分、具体的な行動レベルで示さなければ動けません。挑戦する内容を示さなければ、動いた分だけリスクになるからです。過去に実績のあることとの違いを正しく認識しましょう。
 

計画通りに実行することが重要なのか、試行錯誤をしながら結果をだすことが重要なのか。意味合いの違いまで、何度も伝えましょう。
 

< 社員は社長をチェックする。社長は社員を踏み絵する。負のループから抜け出そう >
 

社員は、社長が思いつきで指示をしたのか、本気で変えようとしているのか、黙ってチェックをしています。そして、幹部や役員を含め他の社員の動きを観察します。大勢がどちらに傾くのか、見極めようとしているのです。
 

自分は、必要以上に振り回されたくないし、仕事も増やしたくありません。本気で取り組んでも、話が変わりバカを見ることは避けたいものです。リスクがあることは、始めからやりたくないのです。
 

社長は、社員が協力的なのか、様子や否定的なのか、見極めようとしています。いわゆる踏み絵をしてしまうのです。
 

言うまでもなく、この関係性では会社は変われません。負のループに陥るだけです。社長の周りにはイエスマンしか集まらなくなるし、現場もなかなか動かないからです。
 

もし、御社がこのパターンになっていれば、今すぐ負のループから抜け出しましょう。つまり、社長であるあなた自らが、自社の負のループをぶち壊すのです。協力者を選ぶのでなく、覚悟を決めて非協力者も協力者になるように巻き込むのです。
 

理論的な背景だけでなく、感情的な熱量をこめて、本気で伝えるのです。組織が反発しても、現場が「組織が崩壊する」「業績がガタ落ちする」と脅してきても、屈してはいけません。
 

「変われない組織は、死ぬしかない。だから、崩壊したり、ガタ落ちしたりしないように何とかするしかない。覚悟を決めて変わるんだ」と宣言してください。
 

そして、方針だけでなく、基準や実行計画を示したうえで、必ず遵守させるのです。
 

社長は、自社の全責任を背負う立場です。自社が何に取り組み、何をやらないのか、明確に示すのです。社員は、社長の覚悟を見て安心し、本気になり、協力してくれるようになります。 
 

社風は、社長自らがつくるものです。チャンス到来です。このタイミングで、チャンスを掴みましょう。そして社員が「この会社に勤めて良かった」と言ってくれる会社をつくりましょう。
 

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