ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第20話社員の意識改革を成功させる前提条件とは

社員に意識改革を 言い聞かせる社長は、モグラ叩きに注力し チャンスを掴み損ねる
第20話:<社員の意識改革を成功させる前提条件とは>(社員に意識改革を 言い聞かせる社長は、モグラ叩きに注力し チャンスを掴み損ねる)

「前期は予算達成率99.6%。あと1社受注できていたら…。最後の最後で諦める営業社員。我が社の営業社員は、まだまだ意識改革が必要です。」
 

御社の前期業績は、目標予算を突破しましたか? 今期の業績は、目標予算を突破しそうですか? そして、営業社員の意識改革。どのように進めていますか?
 

冒頭の台詞は、先日相談を受けたY社長のお言葉です。この会社は、理念経営を重視しています。Y社長は、理念を浸透させるべく、クレドを7年前に作成。毎朝唱和するのはもちろん、目標管理制度にも連動させています。そして、日々理念を意識できるよう、社員一人ひとりに言い聞かせているそうです。しかし、業績は未達成。あと一歩が届きません。
 

この原因は、いったいどこにあるのでしょうか。
 

Y社長は、業績未達の【原因】を<営業社員の意識に問題あり>ととらえています。そして、<もっと意識改革が必要だ!>と考えています。
 

しかし、意識は【結果】にすぎません。【結果】にどれだけアプローチしても、焼け石に水。モグラ叩きを続けているようなものです。永遠に新しいモグラが顔を出し続けます。そうこうしているうちに大切なビジネスチャンスを逃してしまうでしょう。
 

厳しい表現をすれば、無駄です。意識の問題を意識で解決しようとしても、一文にもなりません。それどころか、ミイラ取りがミイラになってしまうかもしれません。「過去と他人は変えられない」という格言があるように、外側からの圧力で考え方を変えるのは容易ではない(※)からです。
 

当然、社長の考え方が変わらなければ、社員の行動もかわりません。行動が変わらなければ、業績もかわりません。早い話が、意識改革にこだわっても、儲かりません。

 

 

■1.意識改革をはばむ真の原因とは
 

何が意識改革をはばむのか…。
 

真の原因は、とてもシンプルです。
 

単に、営業社員が<ものごとの優先順位を見極められない(見極める仕組みがない)から>です。
 

この結果、営業社員は <どのように動けばよいのか?> という具体的な行動がイメージできません。そして、目先のやりやすい無駄な作業を繰り返し、働いた気になっているだけなのです。
 

Y社長の会社の社員も、おそらくサボっているとは認識していないでしょう。それどころか真剣に働いているつもりです。ただ、優先順位を見誤り、成果につながらない作業をしているだけです。繰り返しますが、本人は仕事をしているつもりです。無駄に気がついていないのです。
 

社員は、仕事に尽力しているつもり。それにも関わらず、社長から “意識が足りない” “意識改革が必要だ” と言い聞かされるどうなるのでしょうか。努力が報われない。何をやっても報われない。やがて四面楚歌になったと思い込み、自力で解決できなくなります。精神論の無限ループにはまってしまい、活力を失うからです。やがて、心の中で『Y社長。これ以上、どうしろっていうのですか!』と反抗心さえ芽生えてしまいます。
 

「そんなはずはない。意識は大切だ。我が社には、クレドがある。ものごとの優先順位を見極められるはずだ!」と思うかも知れません。全てが間違いだとは思いません。むしろ意識はとても大切です。しかし、実際の営業現場では、意識面を行動にどう落とし込むのか、具体的な行動として優先順位を見極められません。
 

クレドはとても抽象度が高く、考え方の指針に過ぎないからです。優秀な2割の社員でさえ、なかなか使いこなせません。書籍や研修で得た知識・考え方が、ほとんど実践されないように、一人ひとりに高度な応用力(知恵)がなければ現場で活用できないからです。

 

 

■2.優先順位を見極める仕組みとは
 

営業成績の良い社員は、肌感覚でこの優先順位を見極め、成果につながる行動に注力しています。しかし、営業成績の悪い社員は、ものごとの優先順位を見誤り、無駄な作業を繰り返しています。
 

このとき、できる経営者は、意識の問題に逃げません。真正面から向き合い、何らかの方法で “社員が優先度を見極める仕組み” をつくっています。8割の普通社員やお荷物社員でも、ものごとを正しく見極められるように、業務の仕組みとして落とし込んでいるのです。
 

具体的には、予実績管理や進捗管理の資料、会議の進め方、個別フィードバックの進め方など、ありとあらゆる場所に仕組みを仕込んでいます。それも、人間の特性を深く理解し、だれでも自然と優先順位を見極められるように配慮した設計をしているのです。ここまで配慮すれば、この仕組みそのものが、営業社員の武器になります。
 

後日、Y社長に数点の営業管理資料を見せてもらいました。すると案の定というか、単に報告用の資料になっていました。これでは社員は動けません。表面的に社長や営業部門長を安心させるための資料になっているからです。営業社員が、優先順位を見極める配慮は皆無です。管理ツールが営業社員の武器にはなっておらず、無駄に手間が増えるだけのものになっていました。

 

■3.<見極める仕組み>で、意識改革が成功する。業績も向上する
 

ものごとの優先順位が見極められると、自然と無駄な行動が減ります。仕組みで、8割の普通・お荷物社員の行動が変わります。成果につながる行動が増えるのです。適切な行動が増えれば、業績も上がります。すると営業社員 本人も自信が付きます。社長や上司からも「よくやった」という声もかけてもらえるなど、善循環が生まれます。やがて、できる営業社員の行動習慣が身につき、知恵も身につき、考え方も変わってゆきます。気づけば意識改革が成功しているのです。
 

つまり、社員の意識改革を成功させる前提条件は、意識ではありません。

前提条件は<ものごとの優先順位を見極める仕組みを構築すること>です。
 

理念経営が不要だといっているわけではありません。もちろん大切です。しかし、理念経営を実現するには、前提となる仕組みが必要なのです。
 

既にお伝えしたように、人格や意識(考え方)を直接的に変えるのは容易ではありません。特殊な方法が必要です(※)。その一方で、優先順位を見極める仕組みを環境として整備することは、現実的です。環境が行動を変え、発揮能力や成果を変え、考え方を変えます。共に協力し合える良い関係が構築できるだけでなく、業績も上がり会社も社員もゆとりが生まれます。
 

メスを入れるべき重点は、意識なのか、仕組みなのか。どちらのアプローチが、再現性が高く我が社のためになるのか。理念経営など、社員の意識改革をしたければどうしたらよいのか。どうしたら業績につなげられるのか。言うまでもありません。
 

御社は、優先順位を見極めるために、どのような仕組みを構築しますか?

 

追伸1>
 弊社の「社長も社員も心から安心できる状態をつくる【3年分 受注残をつくる経営(業績3年 先行管理の仕組み)】」は、営業社員がものごとの優先順位を自然と見極めることができる、とても効果的な仕組みです。予実績管理や進捗管理の資料、会議の進め方、個別フィードバックの進め方など、営業部隊のマネジメントならびに仕組みづくりにお悩みの経営者様は、ぜひセミナーにご参加ください。

 

追伸2>
 (※)弊社は<考え方を直接変革する特殊な手法>として【主体性を潜在意思レベルで引き出すステージアッププログラム】も提供しております。【業績3年 先行管理の仕組みづくり】と平行して実施すると、パワフルに組織変革を起こします。興味がある経営者様は、お気軽にお問い合わせください。

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