ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第70話社員を育てる社長 と 自ら育つ社長の違い

社員の育成に注力しても 社長の限界が会社の限界
第70話:「社員を育てる社長と自ら育つ社長の違い」(社員の育成に注力しても 社長の限界が会社の限界)
 

4月。新卒の学生が社会人生活をスタートしました。
 

新入社員を採用した会社の多くは、自社で新入社員研修を実施したり、公開セミナーに新入社員を派遣したりします。
 

「この研修を通じて、学生から社会人へ意識と行動を切り替えよう。そして、1年で一人前の社会人になろう!」
 

K社長は、新入社員に励ましのコメントを送ります。緊張した面持ちの新入社員は、真剣な眼差しで社長のコメントに耳を傾けます。
 
 
 

企業は人なりという言葉の通り、社員を育てることはとても大切です。
 

新たに仲間に加わった新入社員、つまりポテンシャルを秘めた人材(ジンザイ)が、これからどうなるのか。会社にとって財産のような人財になるのか、給料泥棒の人罪になるのか、たんなる人手としての人在になるのか、他にも人災、人済、…、と表現するケースもあります。
 

「ぜひ、人財になってほしい」 K社長は、新入社員に伝えます。
 

K社長は教育熱心です。新入社員だけではありません。他にも階層別やスキル別に研修をしたり、OJT(オンザジョブトレーニング:業務を通じての育成)をしたり、社員の育成に注力しています。
 

しかし、どれだけ社員の育成に注力しても、K社長の会社は成長していません。教育投資に見合う効果が感じられません。なぜなら、 “会社はトップの器以上にならない” という言葉の通り、社長が気づいていない盲点があるからです。つまり、社長の限界が会社の限界だからです。
 

小島は、これまで約170社の企業を支援してきました。そこで、業績が不振におちいっている企業には共通点がありました。
 

それは、社長自身の姿勢です。幹部社員には 「人財を増やせ。自らが見本となり、部下を育てよ」 「方針にのっとり、自ら考え行動する社員になれ」 「我が社を変革せよ!」 といっているにも関わらず、社長自身が5年、10年と同じことを繰り返し、自らの意識や行動を変えていない。こういった会社は、例外なく業績が厳しくなっています。
 

社長の認識が変わっていない。つまり、社長自身が育たなければ会社は成長しないのです。
 

<社員の育成に注力しても 社長の限界が会社の限界>
 
 
 

それでは、社長自身が育つために、いったいどうしたら良いのでしょうか。
 

「社員に育ててもらおう」 と思うのは虫の良い話です。“結果的に”という例外ケースはあります。しかし、結局のところ、自ら育つしかありません。だから、社長が自ら育つ仕組みが必要なのです。
 

社長自ら育つ仕組みとして 「社長の勉強会(経営者○○会や○○塾)に参加している。だから、我が社は(私は)大丈夫だ」 と考える社長もいるかも知れません。
 

実は、これも根本的に間違いなのです。
 

なぜなら、“自社の課題を解決するための答え”を外に求めているからです。
 

「外に答えを求めているわけではない。外にヒントをもとめているだけだ」 と感じているかもしれません。
 

しかし、社長がヒントと思っていることは、実はヒントになっていないケースがほとんどです。
 

実績のある経営者や先生の勉強会や講演で語られることは、ほとんどが後付けの理論です。体裁の整った美しい側面しか見ることができません。裏にある背景や実際のところは、語られないか、語ったつもりでも美談に変換されています。
 

そして、一部の社長には役立つ内容であったとしても、多くの会社にとっては、ヒントどころか害悪になります。
 

理由は、講演で語られることが、その会社で上手くいった手法(一例)の紹介に過ぎないからです。自社とは、そもそもの状況・条件が異なります。前提が違うのです。
 

人間に例えてみましょう。一言で 「体調不良だ」 といっても、単なる寝不足なのか、風邪気味なのか、内臓疾患なのか、末期の癌なのか、原因は様々です。そして、原因によって、対策は異なります。このとき内臓疾患にも関わらず、寝不足の処方箋を試しても、あまり意味がありません。逆に、根本治療が遅れ、身体をさらに蝕みます。
 

企業に置き換えて考えてみましょう。もし、自社の根本的な問題、ボトルネックを正確に把握しているのであれば、それに適した処方箋を試すことで効果を期待できます。しかし、業績不振企業の多くは、自社の問題を正確に把握していません。自社では見えないからです。
 

もし、根本的な問題が見えているのであれば、既にそれに適した処方箋を試し、対策の効果を感じていることでしょう。もし、それなりに策を打っているにも関わらず、状況が良くならないのであれば、認識を誤っています。社長が見ている景色とは別のところに根本的な問題があるのです。
 

<課題認識が間違ったまま、やり方を外から取り入れても害悪にしかならない>
 

つまり、外部の話を参考に、有効に活用できるのは、そこそこ仕上がった優秀な会社だけなのです。だから、業績不振企業がどれだけ外部にヒントを求めても意味がありません。
 

現状が厳しくとも、さらなる飛躍を狙う意思ある中小企業は、社長自身が自社の状況を正確に把握する仕組みが必要です。内部を見ることで、変革のヒントが見つかります。
 

社員からの苦い報告や意見具申がその一つかもしれません。耳の痛い話であればあるほど、意識では分かっていても、感情が邪魔をします。感情的になれば、社員は本当のところを見せなくなります。ですから、意識的に自社の問題の真の原因を見つけ、課題を設定する仕組みを構築しましょう。それが、社長を育てる仕組み、社長の限界を超える仕組みになります。
 

K社長は、「順番を間違えていました。自らの姿勢を変えなければ…」と自身を振り返っていました。

 

さぁ、御社は社員の育成の前に、どのように社長自身を成長させる仕組みを取り入れますか。外にヒントを求める前に、どのように自社の根本的な問題をあぶりだしますか。短絡的な処方箋を探すのではなく、中長期的に自社を強くする仕組み。磐石な土台をつくるための仕組み。根本的に自社を強くする仕組みを、ぜひ構築してみてください。
 
 
 

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