ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第63話3J型の浪費社長と3K型の投資社長の違い

3J型の社長は 時間を浪費する。3K型の社長は 時間を投資する。
第63話:「3J型の浪費社長と3K型の投資社長の違い」(3J型の社長は 時間を浪費する。3K型の社長は 時間を投資する。)

 

「小島先生。仕組みづくりが上手くいった会社に共通する経営者の特徴って何ですか」
 

先日、個別相談の中でお聞きしたある社長のお言葉です。
 

実際には、ご相談というよりも、すでに決心がついており、挨拶がてら前もって自社の状況を伝えておきたい…という感じでした。これまで十何年も社長業をやってこられた苦労話や面白話などで会話が膨らみ、今回の取り組みをぜひ成功させたいのでということで、ご質問いただきました。
 

弊社セミナーでは、さまざまな業種・業界で成果がでた事例をご紹介しております。しかし、「この仕組みを導入しても、中にはあまり成果につながらなかった事例もあるはず。成功確率を少しでも上げるために、経営者として、予めこの違いを押さえておきたい」というものでした。
 

さすが百戦錬磨の社長様です。小島は両者の違いを説明し「だから、御社は大丈夫ですよ」と答えると、すがすがしい表情でうなづきました。
 

今週は、この観点から、新たな取り組みが成果につながる社長と失敗する社長の違いとして、3J型の浪費社長と3K型の投資社長の違いをご説明します。
 
 
 

■1.3J型の社長とは
 

小島は 「成果につながらない社長の共通点は、ずばり3J型の思考回路をしていますよ。3Jとは、自主勉、自前、条件整備。これを優先すると、すべてが中途半端になりますから」 とお伝えしました。
 

よかれと思って3J型の選択をする社長様が多いものですが、いずれも中途半端になってしまいます。なぜなら経営者と言えども、24時間365日、ありとあらゆる場面で意思力を発揮することは現実的ではないからです。さらに、社長と社員では見ている視点が異なり、共に協力し実行していく仲間になれないからです。それでは、3Jとはどういうことなのか。なぜ、間違いなのか、具体的に見ていきましょう。
 

一つ目のJは、自主勉強のJです。
 

このタイプの社長は、各社が開催するセミナーをはしごして、知識を蓄えたり、自身が体験したりすることを優先します。つまり、自身の勉強を優先しているのです。学んだことを自社で実行しようとしますが、社長の理屈っぽい話は伝わりません。そもそも、社員は何も知らないからです。社員は見ても聞いてもいないことやれと言われるので、当然ながら動けません。すると新たな活動は中途半端なものになります。それにも関わらず、このタイプの社長は「我が社の社員はなぜレベルが低いのか…」と愚痴をこぼしています。
 

二つ目のJは、自前主義のJです。
 

このタイプの社長は、まず自社で自力でやってみることを優先します。表面的には「変われ!自分達でやってみろ!」と社員に言いますが、実は潜在的に社長自身が変化へ恐れているのです。プロのアドバイスを直接受けて会社が変わること、これが怖いのです。無意識のうちに、この点に気づかぬフリをしてしまっています。
 

さらに言えば、ベテラン経営者だったとしても、新たに得た着眼の側面では素人です。実行する上で直面する留意点や、適切なステップも知りません。だから、事あるごとにつまづき、道に迷います。そして、中途半端なまま力尽きます。やりきってもいないのに 「この手法は間違いだった」 と誤った認識をします。
 

三つ目のJは、条件整備のJです。
 

このタイプの社長は、条件整備を優先し、あらゆる側面で条件が整ったらやってみようと考えています。しかし、社内外の経営環境は、常に変化し続けています。どれだけ条件整備に尽力しても、モグラたたきの様に次から次へ問題が発生します。そして、タイミングを逃します。
 

さらに厄介なのは、経営者自身が本質的に逃げていることに気づいていない点です。実は、本質的に“やる”という決断ができていないだけなのです。それにも関わらず、決断できない言い訳として、条件不足と理由をこじつけています。
 

このように、自主勉、自前、条件整備を優先する3J型の社長は、何をやっても中途半端になってしまいます。何度も中途半端にはじめて、何度も中途半端に終わるのです。そして、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を浪費し続けます。さらに、最も貴重な時間を浪費していることに気づかぬまま、可能性を狭めています。
 

<3J型の社長は 時間を浪費する>
 

例外的にこの選択をする場合もありますが、とても稀なことです。ほとんどのケースで、ズルズルと浪費をつづけています。社長が気づかぬうちに、自社のまだ見ぬポテンシャルを眠らせたまま放置しているのです。一経営者として、本当にこれで良いのでしょうか。
 
 
 

■2.3K型の社長とは
 

続けて小島は 「成果につなげる社長の共通点は、ずばり3K型の思考回路をしていますよ。3Kとは、決断、協力、決行。これを優先すると、すべてが確率論になりますから」 とお伝えしました。
 

3K型の選択をし、重点を絞り集中して経営資源を投入します。そして、徹底して実行します。なぜなら、いかなる取り組みもやりきってみなければその賛否を判断できないからです。さらに、社長と社員が共通の目的を持つように配慮します。共に協力し実行していく仲間になれば推進力も高まるし、小回りもきくようになるからです。それでは、3Kとはどういうことなのか。なぜ、おススメなのか。具体的に見ていきましょう。
 

一つ目のKは、決断のKです。
 

決断する覚悟も必要です。このタイプの社長は、決断し “やる” か “やらない” かはっきりさせることを優先します。そして、決断したことを社内外に宣言します。だから、社員は新たにやることや新たにやめることが何なのか、理解しやすくなります。だから重点を絞ることができるのです。
 

二つ目のKは、協力のKです。
 

このタイプの社長は、社員それぞれが意思を持つ一人の人間としてとらえています。社長は頭・社員は手足という古典的な考えではありません。そして、目的を共通認識することで、協力しあう文化を引き出しています。つまり、全社員が頭と手足を使えるようにしています。全社を自律神経でつながった一つの有機体にし、組織を動かします。ベクトルを一致させることで、貴重な経営資源を外向きに発揮し、チャンスを掴んでいくのです。
 

三つ目のKは、決行のKです。
 

このタイプの社長は、決めたことをやりきることにこだわります。期待する成果が短期的にでないケースもあります。でも、安易に諦めません。日々、教訓を抽出し、創意工夫を重ねます。どうしたら上手くいくのか、考えながら実行し続けていくのです。相互協力を前提に試行錯誤を続けることで、組織のまだ見ぬポテンシャルを引き出していきます。だから成果につながるのです。
 

このように、決断、協力、決行を優先する3K型の社長は、何をやっても徹底しています。いつだって重点を絞り、経営資源を集中させ、徹底させるのです。そして、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を投資し続けます。さらに、最も貴重な時間を投資していることを認識し、可能性を広げているのです。
 

<3K型の社長は 時間を投資する>
 

例外的にこの選択をしない場合もありますが、とても稀なことです。ほとんどのケースで、適切に投資をつづけています。しかも、確率論で考えているから、戸惑うことはありません。単純に打席に立つ回数を増やし、試行錯誤を続けるのでヒットやホームランが打てるのです。
 

だから、自社のまだ見ぬポテンシャルを引き出し、成果につなげることができます。このタイプの社長は、組織の成長とともに、ご自身も成長なされていきます。一経営者として、とても有意義な生き方です。
 
 
 

■3.時間の投資先は、スポーツ選手に学べ
 

最後に、時間を投資するとはどういうことなのでしょうか。
 

有名なスポーツ選手をみれば、一目瞭然です。例えば、女子テニスでアジア勢初の世界ランク1位になった大坂なおみ選手です。2017年にサーシャ・バイン氏をコーチにつけてから、精神面が強化され圧倒的に強くなりました。錦織圭選手も、マイケル・チャン氏に師事することで、飛躍的に成長しました。
 

つまり、時間を投資するということは、自身に不足しているものが何かを見抜き、その道のプロから適切なアドバイスを受け、自力では10年かかる成長を1~3年で達成するということです。
 

それが、土台となる根本な部分であればあるほど有益です。自社に置き換えて考えてみてください。コーチにアドバイスをもらい、自社の土壌改良をするのです。土台を育むために、適切なコーチを選んでください。
 

このとき、一歩背伸びをしたタイミングで、その道のプロから具体的なアドバイスをもらうことが重要です。自社の将来を見据え、成長段階にあわせて、少しストレッチしたコーチを指名してください。勇気を持ってアサインしてください。自らハードルを設定し、ステージにあわせて使い分けるぐらいの度量が必要です。
 

顧問契約を結びたがる経営者もいますが、例外を除きやめるべきでしょう。相互に甘えや癒着を生むだけです。必要ありません。顧問の皮を被った寄生虫が、ズルズルと顧問料を吸い続けるだけです。甘えた関係を、いつまで続けるのでしょうか。お世話になったコーチとは、数年毎に近況を報告しあうぐらいの関係が理想です。お互いを律しあえる間柄になりましょう。互いに成長すれば、数年後に、また新たな協力体制を築くこともあるでしょう。
 

また、トップクラスのスポーツ選手で、コーチをつけず独学で練習をする方は、ほとんどいません。グダグタと時間を浪費しているうちに、選手生命が終わるからです。同様に、本や勉強会で知識を得ただけでは、知恵に昇華させる気づきが生まれ難く、時間を浪費してしまいます。
 

他にも、付け焼刃のように、小手先のテクニックに走るのもやめてください。特効薬を買いあさっても、自社を混乱させるだけです。ドーピング中毒になっても、会社は豊かになりません。
 

<3J型の社長は 時間を浪費する。3K型の社長は 時間を投資する。>
 

ですから、経営者は、自社を次のステージに引き上げるためにも、新たに何をはじめるべきか、新たになにをやめるべきか、今ココで判断すると良いでしょう。3K型の社長として、決断し、協力し、決行するのです。最も貴重な時間に大切に使いましょう。
 

もちろん、今がタイミングではないかもしれません。また、テーマが異なるのかも知れません。しかし、最も優先すべきことは、自社を中長期的に強くする土壌改良です。これだけは確かです。
 

働き方改革をはじめ、5S活動や目標管理、ISO、人事制度、採用活動、教育研修、SEO対策、研究開発…など、多くの企業がさまざまな活動をしています。しかし、ほとんどが表面的な取り組みになっています。最も重要な “業績向上と社員の成長の両立を実現する土台づくり・仕組みづくり” に着手さえできていません。
 

どれだけ勉強をしても、どれだけ自前にこだわっても、どれだけ条件を整えても、決断しなければ変わりません。結局チャンスを逃してしまいます。
 

あなたは、3K型の社長として、何を決断しますか。浪費した時間は決して取り返すことができません。そして、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源はもちろん、貴重な時間を何に投資しますか。ぜひ、覚悟を決めて、ご判断ください。
 
 
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