ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第114話どうなる? どうする? 今年の採用戦略

弱い社長は 世論に飲まれる 強い社長は 世論を飲み込む
第114話:「どうなる? どうする? 今年の採用戦略」( 弱い社長は 世論に飲まれる 強い社長は 世論を飲み込む )

 

「社長。リクナビの合同説明会。3月開催分がすべて中止です」 M社の人事部長からの報告です。
 

新型コロナウィルスの感染拡大が懸念され、多方面で影響が広がっています。例えば、中国に工場のあるS社は、製造機能がストップしました。観光客向けのお土産げを製造していたN社は、受注量が激減しています。
 

採用の分野では、学生の就職活動がスタートする3月を目前にして、業界最大手の企画運営会社が判断しました。冒頭の報告は、この報告です。
 

「こればっかりは、仕方ないな。代替案を考えてくれ」 とM社長。社長は、事前にニュースを見ていたため、特に驚く様子もなく返事をしました。
 

同族会社の新卒採用において、合同説明会は学生と接点をつくる貴重な機会です。しかし、合同説明会の企画運営会社は、終息の目処が経つまで、代替日を決定することもできません。
 

同族会社は、指を咥えて代替日のお知らせを待っている場合ではありません。ただ、これまで外部のインフラに依存していたため、対策の打ち様が無い。そんな会社が多いものです。
 

その数日後、他の中堅規模の企画運営会社からも別の合同説明会の中止や延期の連絡が入りました。予測していた通り、業界最大手の決定に追随し始めたようです。ところが、中には例外の企画運営会社もあります。
 

「唯一、◇◇社が企画する合同説明会は開催するようです。予定通りブースを出すのか否か、先方から確認の電話が入りました。参加予定の学生も大量にキャンセルしているようですし、世論もあります。今回は、見送りにしようと思いますがいかがでしょうか?」 と人事部長。
 

企画運営会社の話では、出展予定だった大手企業は、冷静に事態を見ており、早々にキャンセルをしたようです。
 
 

もし、あなたがM社の社長だったとしたら、どのように指示しますか?
 

返事A:「世論もあるし、出展をキャンセルしよう」 と指示するのか?
 

返事B:「世論の逆張りだ。積極的にブースを出そう」 と指示するのか?
 

返事Aの方 : 世論に同調して「キャンセル」を選択した社長は、世論に合わせることで自社の安全・安心を確保しようとしています。表向きには「有名なあの会社もキャンセルしたし、我が社も万が一のリスクを取るよりも、中止の方が適切だ」と自身を言い聞かせています。
 

ところで、大手企業はなぜ出展をキャンセルしたのでしょうか。
 

あなたは、この構造を紐解く必要があります。大手企業は知名度が高いため、世論を敵に回したら危険です。それに、例え合同説明会が中止になったとしても大丈夫です。前もってインターンシップ等で学生の個人情報を把握しており、個別にアプローチできるからです。また、既に認知されており自社説明会に直接応募がくると見込んでいます。
 

ですから有名企業であればあるほど、ブースの出展を早々に取りやめているのです。もし、御社のような中小から中堅規模の会社も出展をキャンセルするようになれば、一番都合が良いのは大手企業です。だから、大手企業にとっては 【 キャンセル 】 が正解なのです。
 

にも関わらず、あなたは、これに同調してしまっているのです。結局のところ世論に飲み込まれているだけです。採用という目的を達成するためには、同業他社(特に大手企業)と同じ判断をしていたら話になりません。世論に飲み込まれているから、会社はジリ貧になるのです。
 

返事Bの方 : 「ブースを出そう」と判断した社長は、資本主義社会の本質を皮膚感覚で理解しています。需要と供給のバランスを見極めて逆の発想をするのです。例えば、許容できるリスクであれば、大手企業に流れてしまう学生に直接アプローチできるチャンスになると考えるのです。
 

同族会社、特に中小のオーナー企業ほど、世論を逆手に取らなければなりません。つまり、世論に飲まれて安全・安心を感じるのではなく、世論を飲み込み挑戦・工夫しなければならないのです。
 

< 弱い社長は 世論に飲まれる 強い社長は 世論を飲み込む >
 

当然、防ぎきれない感染リスクや直前で中止になるリスクもあります。社員の安全や製品・サービスの安定供給も考えなければなりません。多面的に考え、リスクを最小限に抑えることは必須です。それに、保守的な人事部門のメンバーが納得できるストーリーを考え、巻き込まなければなりません。
 

ですから、闇雲に出展してはいけません。新たな採用ルートの設計や構築も同時進めながら、一つの手段として(感染対策を加味し、形式を変えて)出展するのです。
※2020/02/26追記:政府の方針に従い、従来の形式は一時的に自粛してください(最新情報を確認しながら、ご判断ください)
 

この時、就職活動中の学生の動向も考慮する必要があります。 「合同説明会は、思いがけない業種や企業と出合える可能性があるいい機会なのに…」 と落胆する学生もいれば、 「冷静にウェブで調査するしかない」 と考える学生もいます。仮説でよいのでこういった動きを予測し、先手を打つのです。
 

ですから、まずは最小限の人員体制に変更し、外部と接する部隊と内部から支援する部隊を分けましょう。そして、自社サイト(HP)の採用ページの構成やウェブ広告を早期に見直したり、ZOOMなどのウェブサービスを活用したり、大学とのパイプを活用したアプローチを見直したり、ありとあらゆる代替手段を実行していくのです。
 

例えば、自社サイトにリクナビサイトへのリンクや、単なる申し込みページがあるだけで満足してはいけません。動画配信によるウェブ説明会も一つの手でしょう。ウェブ広告の掲載条件を絞りつつ、広告費を上乗せしてアクセスを集めることは必須です。
 

そもそも、学生がネットで検索しなければ自社サイトにたどり着きません。もし、サイトを閲覧しても、求める情報がすぐに発見できなければ意味がありません。正しく導線設計をしていなければ、申し込めないのです。多くの会社は、このあたりが考慮不足です。
 

ですから、御社には同業他社がやらないゲリラプランが必要です。具体的なブランを描き、いち早く実行することが大切です。つまり、返事Aでも返事Bでもなく、さらに上位概念から返事Cを社員に指示すべきなのです。これは、採用活動に限りません。同族会社が生き残るために必須の姿勢です。
 

世論が大きく動いている今だからこそ、御社は指を咥えて眺めている場合ではありません。今すぐ、緊急対策メンバーを招集し、世論を逆手にとりましょう。世論を逆手に、自社が世論を飲み込むような策を企て実行してください。このような挑戦的な決断をするのは、社長の仕事です。それが御社の生きる道です。御社ならできます。新たな流れを自ら創りだしましょう。
 

 
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