ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第86話どちらが正解? やらずに後悔か、やって後悔か

「やらずに後悔よりも、やって後悔を選ぶ」この発想に注意せよ!
第86話:「どちらが正解? やらずに後悔か、やって後悔か」(「やらずに後悔よりも、やって後悔を選ぶ」この発想に注意せよ!)

 

「やらずに後悔するよりも、やって後悔する方が良い」
 

自ら挑戦し困難を乗り越えた方、何かを成しとげた方がいう言葉です。
 

言い換えれば、「現状を維持して(変えないで)後悔するよりも、挑戦して(やり方を変えて)後悔するほうが良い」「変えない覚悟をするよりも、変える覚悟をしたほうが良い」という発想です。
 

「やってみないと分かりませんから。後悔先に立たずとも言いますし」
 

これも頻繁にお聞きする言葉です。経営者は常に困難に立ち向かわなければなりません。そして、自ら挑戦しなければ何もはじまりません。やってみて初めて分かることも多いものです。ですから、この言葉に共感する方も多いことでしょう。
 

しかし、この言葉に、騙されないでください。実は、これが間違いなんです。やるか、やらないか、そもそも2択で検討している。この発想に構造的な限界があります。
 

なぜなら、やっても地獄、やらなくても地獄ということも多いからです。新規事業に手を出して会社を潰した社長も、現状維持のつもりが衰退してしまい会社を潰した社長も、沢山いるのではないでしょうか。
 

成功した社長の影には、数え切れないほどの失敗した社長がいるのです。この事実に向き合わなければなりません。
 

また、続けても地獄、やめても地獄という状況も頻繁にあります。現在、主要取引先からの要求や雇用環境は大きく変化しています。
 

例えば、働き方改革が単なる残業規制になっているなど、形だけの取り組みが会社を蝕んでいます。まともに考えると「やっても、やらなくても、どちらも頭が痛い」というものです。悩みは違えど、実際にはこんなケースが多いのではないでしょうか。
 

<「やらずに後悔よりも、やって後悔を選ぶ」この発想に注意せよ!>
 

では、やるか、やらないか。決断を先延ばしするのが良いのでしょうか。中途半端なまま、ズルズルと様子見というケースです。言うまでもなく、これは一番マズイ判断です。
 

サラリーマン社長であれば、選択肢の1つです。数年毎に社長のバトンを次に渡すからです。自分の代でリスクを取るよりも、次の社長に問題を先送りできるからです。
 

しかし、同族会社の社長であれば大問題です。ご自身の将来にも、大切な後継者の将来にも、会社の将来にも、悪影響を与えるからです。決断の遅れは、間違いなく将来大きな損失になります。
 

社長業は判断業。いつだって決断しなければなりません。覚悟をもたず、中途半端なままズルズルと…。これでは、社長の存在価値がありません。
 

それでは、どうしたら良いのでしょうか。この答えはシンプルです。やろうが、やるまいが、どちらを選んでも良いのです。ただ、後悔しない判断をすれば良いのです。
 

逆に、後悔する判断とは、思いつき、勢い、運任せで決めた判断のことです。つまり、後悔する判断とは、ギャンブルです。社長は、ギャンブラーではありません。経営者です。
 

後悔しない判断をしてください。かつて某大手の製紙会社の社長が、自分の会社を担保にカジノにお金を注ぎ込み…。こんなギャンブルなんてするものではありません。
 

この後悔しない判断には、適切な情報と判断軸が必要です。ただ、情報を沢山集めればよいというわけではありません。多くの情報を集めるには、時間も労力もかかります。また、判断が遅くなってしまいます。遅れた判断に価値はありません。
 

そして、社長は、勝てる場を見つけ出し、勝てる試合で勝たなければなりません。ですから、適切に準備をして、適切に判断をしなければならないのです。前もって必要な情報をあつめ、その上で決断するのです。
 

さらに、社長自身が納得できる判断をして、想定した結果なっても、ならなくても、次につながる教訓を抽出し活かしていくだけなのです。
 

この時、社長は、根本的なワナに注意してください。それは、社長だけが決断の背景を理解し、納得しているというワナです。
 

たとえ社長が納得していたとしても、「社員が社長の決断の背景や意図を理解していない。納得もしていない」というワナです。
 

これは、社長の伝え方の問題というよりは、経営構造、マネジメントの仕組みの問題です。単純に、社長と社員で、情報や判断を共有する仕組みがない。ただ、それだけなのです。こんな単純なことで、社長が納得した決断が、実現しなくなってしまうのです。
 

社員が納得していなければ、組織の力が分散します。もし、全社一丸となって取り組めば突破できたかもしれません。しかし、お互いに足を引っ張り些細なことでも失敗してしまいます。
 

「我が社はちゃんと社員に伝わっている」こう思う社長ほど、注意してください。思ったほど伝わっていないものです。
 

特に、職人気質の社員が多い会社は注意してください。社員が自分の技術に自信や誇りがあるため、本人が納得しなければ、梃子でも動かないからです。
 

もし、社長が、社員一人ひとりに決断の背景や意図を説明することができれば、それが理想です。しかし、1回説明したら理解してもらえる。そんな簡単なものではありません。繰り返しの説明が必要です。
 

社員の人数が増えるほど、この労力が雪だるま式に増えていきます。状況も刻々と変化しています。
 

だから、社長の決断の背景や意図を、社員も理解できる仕組み、先が見える仕組みをつくり、社長と社員がと共有すると良いのです。
 

やる・変えるといった攻めの経営判断でも、やらない・変えないといった守りの経営判断でも、社長の判断です。前もって決断し、それをやりきれば、どちらも正解です。
 

その上で、やる・変えるという攻めの経営を選択すると、新たな市場を創造し、自社を次のステージに進めることができます。つまり、自社の将来を自分達で創りだすことができるのです。
 

ただし、やらない・変えないという守りの経営を選択すると、細々と生きていくことになります。どのような製品・サービスでも、完全に市場が無くなるわけではありません。家業として生き延びる道があります。ただ、自社の将来を環境に委ねることになってしまいます。
 

やるか、やらないか、どちらが正解というものではありません。どちらも選択です。後悔しない選択をしてください。
 

社長は、自社を次のステージに進めるのか、細々と生きていくのか、決断しなければなりません。そして、その決断を実現するためには、社長の決断の背景や意図を理解できる仕組み、先が見える仕組みをつくり、社員と共有することが必要なのです。
 

やる、やらない。どちらの選択もギャンブルでは後悔するでしょう。後悔はするものではなく、仕組みで消すものです。有意義な決断ができるよう、御社の仕組みをバージョンアップしてください。
 

同族会社の社長として、主導権を握った経営を実現するために、今何をすべきかぜひ決断してください。気づいたときがタイミングです。私どもは決断する社長を応援しております。
 

 

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