ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第42話現状維持から抜け出せない。そんな社風に困ったら

金太郎飴方式で 徹底度を上げるのか バラエティパックで 変化を促すのか
第42話:「現状維持から抜け出せない。そんな社風に困ったら」(金太郎飴方式で 徹底度を上げるのか バラエティパックで 変化を促すのか)

 

 

「我が社の社員は、何をやらせても中途半端で…。この現状を打破する秘訣は何でしょうか」
 

先日、弊社セミナーにご参加いただいた勉強熱心な社長様のお言葉です。現状維持を優先する社風にお悩みのようでした。
 

「現状維持を打破する秘策」
 

シンプルに一言で答えられるのかもしれませんが、原因の特定や、対策の効果測定まで考えると、実に複雑かつ悩み深いテーマです。
 

すると勉強熱心な社長は、情報を集めます。書籍やセミナーなどで、何らかの知識を得たり、他社の事例を知ったりします。学ぶ場に足を運べば簡単に情報が手に入ります。決して悪いことではありません。
 

しかし、ここに大きな問題があります。それは、何らかの知識や事例が<固有の前提のもとに成り立っている>にも関わらず、<我が社も上手くいくかもしれない>と勘違いをして、安易にマネをしてしまうことです。
 

現状維持を優先する原因は、状況を詳しくお伺いしなければ特定できないですし、対策といっても多岐にわたります。実行状況にもバラつきがあるでしょう。もし何らかの秘策があったとしてもその「固有の原因」と「秘策の実行状況」で、驚くほど差がでることは間違いありません。
 

考えてみれば、そもそも業種や業界も違えば、企業規模も社風も違うことがほとんどです。ですから、差が広がる要因は、いくらでもあるのです。
 

さらに言えば、同じ会社・同じ秘策であったとしても、実際に導入するタイミングや手順、業務の負荷状況…などによって、わずかな違いではなく「大きな違い」が出てきます。
 

それにも関わらず、安易にマネをするとどうなるのか…、言うまでもありません。ほとんどのケースでポイントがズレた状態で実施してしまいます。ポイントを的確に押さえることは、藁の中から針を探すほど、難しいものです。その結果、その取り組みを実らせる社員や価値を感じるお客様は皆無でしょう。そして、何のために、何をやっているのか…。社員は、徐々に分からなくなります。やがて、数ヵ月後にはいつものパターンに戻っていることでしょう。
 

このような取り組みを四季に例えるなら、春になれば新たな取り組みがスタートし、夏になれば冷房の効いた事務所でほどほどに取り組む。そして、秋になれば無事に収穫…といかず、天候不順や異常気象を理由に、実りが少ない(ない)ことを正当化する。冬になると「今年も寒いですね」と暖房の聞いた事務所でぬくぬくと過ごす。といった状況になります。社員も慣れたもので、毎年このパターンを繰り返しているのです。
 

残念なことに、勉強熱心な社長の会社ほど、このNGケースに陥ってしまいます。
 

それでは、どうしたらよいのでしょうか。簡単な話、秘策と一言でいっても、単にマネをすればよいのではなく、自社にあう秘策を適切なタイミングで選択し、適切な形で導入しなければ効果はでません。逆効果になることもあります。この点は、その道のプロにアドバイスをもらうことを強くおすすめします。そして、次に重要なことは、<徹底すること>と<変化を支援すること>です。
 

徹底という観点では、<既存事業>で<既存の成果が出るやり方>を徹底していないだけという会社も多いものです。実際に成果を出している社員のやり方を社内で共有し、他の社員も実行するように促してみてください。闇雲に<新たな事業>や<新たなやり方>を模索するよりも、確実で効果的です。つまり、成果を出している社員をモデルに金太郎飴方式で、徹底度を上げるのです。これが現状を打破する第一歩です。
 
 その一方で、新たな取り組みを徹底しようにもなかなか上手くいかないケースも多いものです。この理由は、組織的な仕組みとして変化を支援していないからです。
 

現状維持が優先される最大の理由。それは、<人の潜在意識が変化を恐れていること>にあります。意識では変化したいと思っている社員も、そうでない社員も同様です。
 

さらに、組織的に現状維持の力が働きます。事実、社内に変化の兆しが見られると、変化の芽を根こそぎ摘もうとする社員が現れます。それは、既得権者や安定思考の社員たちです。本人は意識せずとも保身に走ってしまいます。すると、SNSでゴシップ情報が拡散されるかのごとく、非公式なネガティブキャンペーンが水面下で展開されます。本人に悪気がないだけに、たちが悪いものです。
 

これを阻止するためには、どうすればよいのか。それは、変化を良しとする仕組みを構築することです。もし、既存の組織で、既存のやり方で、十分な成果がでていないのであれば、チームを再編成したり、新たなやり方を模索したりする仕組みをつくって下さい。
 

現状のまま、新しい何かを生み出すことは難しいものです。ですから、既存の組み合わせをシャッフルし、バラエティパックをつくります。そして、前提をかえることで変化を促す仕組みをつくるのです。この仕組みの存在は、<変化することが正しい。十分な成果がでないやり方を続けることは間違い>という明確なメッセージとなります。そして、変化することが標準といった考えが、社内に浸透していきます。
 

金太郎飴方式で、徹底度を上げるのか
 バラエティパックで、変化を促すのか
 

どちらかではなく、どちらも大切です。
 

金太郎飴方式で徹底度を上げ、バラエティパックで変化を促す

 

まずは、既存のやり方で成果を出している社員をモデルに、金太郎飴方式で徹底度を上げてください。それでも上手くいかなければ、変化を良しとする仕組みをつくり、バラエティパックで変化を促してください。
 

この変化のプロセスで、何らかの上手くいくやり方が見つかれば、それを金太郎飴方式で徹底してください。上手くいかない状況が続いていれば、バラエティパックでさらに変化を促してください。
 

この現状維持を打破する秘訣は、この繰り返しです。少し補足するのであれば、この繰り返しを促す仕組みをつくることです。結論。秘策は、社外の情報にあるのではなく、社内の仕組みにあるのです。
 

「こんなの秘策でもなんでもない」とお思いかも知れません。しかし、どのような手法であれ、成果を出すためには自社の中にこういった仕組みをつくり定着させるというプロセスが必要なのです。実はそれが秘策なのです。
 

また、「そんなことは既にやっている」とお感じの社長もいらっしゃるかもしれません。しかし、徹底させることも、変化を促すことも、本当に仕組みとして御社に構築できているのでしょうか。何らかのやり方を徹底させるのも、変化を促すことも、精神論では難しいものです。ひょっとしたら、仕組みよりも精神論のウエイトが高い状況かもしれません。
 

そして、何よりも着手する取り組みを1つに絞ってください。重点を絞り経営資源を集中させること。これが、徹底度を上げて変化を促す前提となる秘訣です。
 

御社はどの取り組みに絞って徹底度を上げますか。そして、どのように変化を促しますか。さらに、どのように仕組みとして構築していきますか。

 

 

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