ノートとペン 今週の「コジマ式 変革経営の視点」 代表 小島 主の経営者様向け専門コラム

第50話我が社の進化・成長をはばむ3つのワナとうながすコツ

自社の進化・成長をうながす3つのコツ 知らずに疲弊し続けるのか 理解して活用し続けるのか
第50話:「我が社の進化・成長をはばむ3つのワナとうながすコツ」(自社の進化・成長をうながす3つのコツ 知らずに疲弊し続けるのか 理解して活用し続けるのか)

 

「今の自分があるのは、小島さんのおかげ。本当に感謝しているんだよね~」
 

小島がシステム会社に勤務していた20代のころ、お世話になったS先輩。先日、久しぶりにご連絡をいただきました。そして、その冒頭にいただいたお言葉です。
 

小島はその後、コンサルティング会社に転職し8年勤務、やがて独立をして5年が経過しましました。H先輩は、その後ある企業に転職し、経営企画部門で活躍をしています。
 

このように『感謝の声』をいただくことは、とても嬉しいものです。自身がこれまで取り組んできたことが「誰かの役に立ったんだ!」と実感する瞬間です。
 

しかし、S先輩とは個人的に仲良くしていた先輩。一緒に働いていたのは14年ほど前のことで、特別に何かをした記憶はありませんでした。そこで、詳しく当時のことを聞いてみました。
 

すると、当時、事業部から経営企画部門に移動した小島は、自主的に社内で勉強会を開催し、事務所にいた先輩や同僚・後輩を巻き込んでいたようです。26歳の頃です。
 

記憶をたどると、「小島の趣味は、自己啓発です」というくらい外部のセミナーに参加したり、ヒントになりそうな書籍を読んだりしていました。そして、学びを実践することにこだわっていました。
 

「一人で実践しようとするとなかなか続けられない…。だったら、日常業務で関わる社内の先輩・同僚・後輩を巻き込んでしまえ」と都合よく考えていました。そして、公式な勉強会になると許可をもらったりする手間もあり、自由度も失います。業務終了後やランチタイムなどに、非公式な場を設けて実施していました。
 

自主的な勉強会ですから、つまらなければ人は集まりません。自身が学んだことの要点をまとめ、簡単に伝えられるように、簡単に実践できるように、といろいろと工夫をしました。この取り組みに面白がって参加してくれていた先輩の一人がS先輩だったのです。
 

S先輩いわく、今でも役に立っているのが表計算ソフトを活用する勉強会と目標設定・達成の勉強会の二つ。前者は、経営状況を把握するための業績管理ツールを設計・運用する際に役立っている。後者は、目標設定シートというツールで、今でも自分自身を活かすために役立っているとのこと。
 

いろいろと悩み苦しんだ時期もあるそうですが「実は、地獄から這い上がるときにも、このシートが役立ったんだ。今も使ってるよ」とおっしゃっていました。
 

小島はまずは自分のために、あわよくば同じ会社で働く仲間のために、勉強会を開催していました。これが、結果として先輩の人生に役立っていたようです。恐縮してしまうくらい感謝の言葉をいただけました。嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった状態でした。
 

ここまで聞くとどのような内容だった興味がわいてきます。しかも、小島の手元には何も残っていません。先輩に当時の資料を送ってもらいました。
 

内容を確認すると、当時の小島なりに学んだことをアレンジしたツールでした。意図的に配慮した点もあれば、単に猿真似しただけというところも沢山あります。14年経った今、小島なりに見返してみると、手前味噌ですがよくできています(笑。
 

単に目標管理をするシートではなく、経営の要素をいれたり、心理学的な要素を入れたり、時間軸も中長期的な視点から逆算して、現実的に何を実施するのかまで、落とし込むようになっていました。(当時は、この意図を知らずに設計していました)
 
 

自分自身を次のステージに引き上げるために…。

<自身の進化・成長をうながす3つのコツ>
知らずに疲弊し続けるのか、理解して活用し続けるのか
 
 

当時のことを、客観的に聞きながら小島自身の過去の取り組みを思い出していました。すると、いま小島自身が今現在コンサルティング先や社員研修でお伝えしている「進化・成長をうながすコツ」を知らずに実践していたことがわかりました。
 

個人も法人も、人格をもっています。このため、人間の原理原則が、法人の原理原則にも通ずる。そんな側面が多いものです。今では、こういった点を意図的に活用しています。
 
 

我が社を次のステージに引き上げるために…。

<自社の進化・成長をうながす3つのコツ>
知らずに疲弊し続けるのか、理解して活用し続けるのか
 
 

当時の小島のように、知らぬうちに配慮できていれば良いものですが、知らないだけで前に進めない企業やビジネスパーソンが多いものです。小島は、いろいろと探求するなかで、このワナとコツが見えてきました。今週はこのエッセンスから、「我が社の進化・成長をはばむ3つのワナ」をお伝えします。
 

まずは、少し時間をおいて社長なりに「我が社の進化・成長をはばむ3つのワナ」を考えてみてください。さまざまな切り口があるので、ご自身なりの考えをまとめることが大切です。そして、参考情報として、以下をお読み頂けると良いでしょう。
 
 
 
 

■進化・成長をはばむワナ(1)
 
≪そもそも認識していない(知らない)≫

→ 外に出て、ヒントを探していない。進化・成長できること、可能性に気づいていない
 

問題にとらわれているとき。解決策が見つからないとき。こういった場合は、往々にして視野が狭くなっています。この場合は、自社の常識にとらわれていない社外にヒントが転がっています。にもかかわらず、外にでヒントを探さなければ、進化・成長できる可能性に気づくことができません。
 

可能性に気がつかねば、そもそも挑戦しようとも思えません。社内でどれだけ原因を調査したり、分析したりしても、かつての常識にとらわれている限り、解決の糸口は見つかりません。言うまでもありません。
 

まずは、外に出てみましょう。自社で抱えている悩みを既に解決している企業や人は多いものです。経営者であれば、外部のセミナーに参加することも一つです。社員であれば、いつもと異なる研修や視察をすることも良いでしょう。
 
 

■進化・成長をはばむワナ(2)
 
≪目的・目標・それに至るプロセスが曖昧≫
→ 必要性や具体性を自分の頭で考えていない。だから受け身で曖昧になってしまう
 

例えば、取引先からの依頼や先代社長からの指示を思い出してみてください。社員であれば社長や上司からの指示に置き換えてください。言われたとおりに実行するだけのことに、どれだけ注力できるのでしょうか。たとえ適切なアドバイスであったとしても、自分自身が必要性を感じていなければ、なかなか最後までやりきれないものです。やらされ感がある場合は、やらないこと=恐怖、と連動しなければ、決して動きません。そして、恐怖で動いたとしてもポテンシャルは引き出されません。
 

何のためにやるのか(目的)、どこまでやるのか(目標)、どうやってやるのか(それに至るプロセス)。自分の頭で考えなければ、必要性は感じられません。自分の言葉で表現しようとすることで、やらされ感(受け身)から自分ごと(主体的)に変わるのです。
 

また、何を実行するのか、具体的に明文化すれば、あとは行動するだけという状態になります。これが、行動するハードルを大きく下げるコツになります。
 

御社に、社長の指示・命令をそのまま現場に伝えるだけの、幹部社員はいませんか。この場合、自分の言葉で伝える努力を怠る幹部社員は、単なる伝言係りに成り下がっています。高額な人件費を支払ってまで雇う必要はありません。要件をそのまま伝えるだけでは、月額数千円のクラウドツールで十分まかなえます。組織を実際に動かすために雇っているのであれば、自分の言葉で明文化させるようにしましょう。
 

また、幹部社員に戦略から戦術まで、すべて考えさせている経営者はいませんか。この場合は、社長の怠慢です。もちろん社員なりの考えを社長が理解するために、社員に当事者意識をもってもらうためにこういった場を設けるケースは多いものです。社員の勉強会として戦略・戦術を明文化させる場合は、最終的に社長自身の言葉でまとめ直す必要があります。ご自身の言葉に変換した後、全社方針として発信すると良いでしょう。
 
 

■進化・成長をはばむワナ(3)
 
≪現状にそこそこ満足している≫
→ 安全安心欲求があるため、変化がこわい。現状満足で危機感なし
 

人間は、頭で必要性や重要性を理解しても、変化しません。身体には安全安心欲求があるからです。つまり、頭では、思考を使って「中長期的には、進化・成長することが必要だ」と理解しています。しかし、身体感覚には時間軸がなく「今、何とかなっているから大丈夫。わざわざ挑戦してリスクを背負う恐さよりも、現状を維持していたほうが安全安心」と感じているから変化できないものです。
 

この場合、従来のパターンにとらわれている人と過ごしていると、ますます現状維持を優先してしまいます。そこで、新しい理想のパターンを実現している人と接する機会を増やしていきましょう。具体的には、既に実現している人が集まる場を設け、意図的に足を運ぶこと。これが一番簡単です。
 

はじめは違和感を感じて、二度と足を運びたくなくなります。しかし、これは人間の性質が邪魔をしているだけだと理解して、意図的にスケジュールに組み込み足を運びます。何度も足を運ぶことで、やがて新しいパターンの方が落ち着く、安全安心を感じるという状態になれば、すでに進化・成長をし始めています。
 

組織で行う場合は、「仕組みとして新しい理想のパターンを実践する場を設けること」が大切です。人間の意志は、それほど強くありません。時間軸でとらえることが苦手な社員であればなおさらです。あっさりと現状維持を選択してしまいます。何らかの仕組みを設計し、社員が新しいパターンに接する機会を増やしてみてください。
 
 
 

14年前の小島は、自然と外に出て新たな可能性に出会っていました。そして、社内の勉強会を開催するために自分の言葉で明文化していました。常にアウトプットをしていたのです。さらに自主的に開催していた勉強会が、人間の安全・安心欲求を超える仕組み、新しい状態に慣れるための場になっていました。
 

当時は、すべてが偶然でした。運よく、3つのワナを克服する仕組みになっていました。今では、さまざまな学びをする中で、この意味やコツがわかるようになりました。そして、意図的にコンサルティング先にお伝えしております。
 
 

我が社を次のステージに引き上げるために…。

≪自社の進化・成長をうながす3つのコツ≫
知らずに疲弊し続けるのか、理解して活用し続けるのか
 
 

本コラムをお読みの社長様は、どのようなワナをお考えになりましたか。繰り返しになりますが、社長ご自身の言葉で明文化することが大切です。
 

そして、小島が紹介したワナもヒントにしてください。単純に知らないだけで、こういったワナにはまってしまうものです。
 

もし、御社が顧問税理士や会計事務所の支援を頼りにしていれば、新たな着眼が不足しやすく、一つ目のワナにはまってしまうものです。また、戦略系のコンサルティング会社の支援を頼りにしていれば、もっともらしい答えを与えられるだけで実行力が不足しやすく、二つ目のワナにはまってしまうものです。気合いと根性を土台とした精神論や人間力という抽象論を説くだけの研修では、新しい状態になれるための場が仕組みとして存在せず、三つ目のワナにはまってしまうものです。いずれもこれを認識し、予め対策を打ってください。
 
 もし「我が社が停滞している」とお感じであれば、こういったワナが原因かもしれません。今回ご紹介した各ワナに記載した進化・成長をうながすコツを実施してみてください。きっと、御社を次のステージに引き上げるヒントになることでしょう。
 
 

※S先輩、先日はよい振り返りの場をいただきありがとうございました。
 

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